JRC 蘇生ガイドライン 2015

JRC 蘇生ガイドライン 2015:
心停止かどうかの判断に自信が持てない場合も、心停止でなかった場合の危害を恐れずに、ただちに胸骨圧迫を開始する。
なお、CPR に熟練した医療従事者が心停止を判断する際には呼吸の確認と同時に頸動脈の脈拍を確認することがあるが、市民救助者の場合、その必要はない。
傷病者に反応がなく、呼吸がないか死戦期呼吸が認められる場合、あるいはその判断に自信がもてない場合に心停止と判断することは理にかなっている。

市民救助者は,傷病者が心停止でなかった場合の CPR による危害を恐れることなく,心停止を疑った場合にはCPRを開始することを推奨する(強い推奨、非常に低いエビデンス)。
重要なアウトカムとしての有害事象について、院外において心停止でないのに市民救助者から CPR を受けた計762 名を対象とした観察研究が4件あった(非常に低いエビデンス:バ イアスのリスク、不精確さによりグレードダウン)。
このうち3件は、診療記録を元に、CPR を受けたことによる有害事象を調査し、うち1件では、その後の電話インタビューも行われていた。
これら3件の研究の対象者は計345名で、1.7%(95% CI 0.4~3.1)に骨折(肋骨と鎖骨)、8.7%(95% CI 5.7~11.7)に胸骨圧迫部位の痛みを認めたが、臨床的に問題となるような内臓損傷はなかった。
別の1件は、消防職員による現場での観察に基づいた報告で、 417名の対象者において外傷の報告はなかった。