耳管狭窄症

風邪の季節 耳がつまったら・・・耳管腫れる耳管狭窄症を疑う

閉塞感や不快感 / 放置で慢性化

寒くなると風邪で鼻炎になり、耳がつまることも多い。

耳管狭窄症の可能性があり、放置すれば慢性化することもある。

初期症状は突発性難聴などとも類似しているので、しっかり見極め適切な対処が必要だ。

 

耳管狭窄症は、鼻腔の奥にある上咽頭と中耳をつなぐ管状の耳管が狭くなって耳がつまり、音がくぐもって聞こえるなど不快感を伴う疾病だ。

耳管には中耳で発生する分泌物を咽頭に排出したり、耳の内部の空気圧を調整したりする機能があり、狭窄するとそれが妨げられてしまう。

 

耳管のサイズや働きには個人差かあるが、風邪で具合が悪くなることも多い。

 

耳管狭窄症の主な要因は、喉の上から鼻腔にかけた上気道に起こる炎症だ。

粘膜でつながっている耳管の入り口や内部にも炎症が起きて腫れ、耳管が狭まる。

風邪に伴う鼻炎や上気道炎、慢性の副鼻腔炎アレルギー性鼻炎が原因になる場合がある。

 

鼻水を何度もすすることでも、症状が起きがちだ。

上気道の刺激も要因となり、歯ぎしりや歯を食いしばる癖のある人もなりやすい。

 

診断には、鼻からカテーテルを通し耳管に空気を送り込む耳管通気と、機械で鼻腔に雑音を発生させ、伝わり方を耳穴につけたマイクロホンで測定する耳管機能検査がある。

 

この10年で検査機器が普及し、耳管機能検査を行える耳鼻科クリニックが増えてきた。

 

耳管通気を行うと、耳が塞がった感じや音のくぐもりはなくなる。

症状が治まれば耳管狭窄症の可能性と診断される。

注意したいのは、この段階は診断にすぎないことだ。

  

耳管通気は一時的に症状を和らげるのみ。

完治させる治療ではない。

 

耳管狭窄症の治療はあくまで、耳管の炎症を誘発した他の炎症を根治することだ。

投薬による治療の他、炎症を引き起こす鼻汁の吸引などを行うことで症状が治まるのを待つ。

また、耳管を広げる効果のある耳抜き、唾の飲み込み、顎の動かし方などの指導も行われる。

 

急性の耳管狭窄症の場合、風邪などによる炎症が治まれば、不快な症状も消えるのが大半とされる。

症状を繰り返すようであれば、慢性の耳管狭窄症の可能性もある。

慢性症状がある場合は、慢性の上咽頭炎を患っているケースが多い、という。

慢性の炎症をしっかり治療すれば、耳賢狭窄症が治る率もかなり高くなる。

 

耳がつまる症状で受けた検査で、耳管狭窄症ではないと診断された場合、突発性難聴メニエール病、耳管開放症が考えられる。

耳管狭窄症と症状は似ていても、治療法が大きく異なるので、改めて診断が欠かせない。

 

例えば耳管が開きっぱなしになる耳管開放症は、耳管狭窄症と同じ症状の他に、自分の声が響くという症状が多く見られる。

生まれつき耳管の広い人がなりやすく、耳管を動かす筋肉の衰えや耳管回りの脂肪の減少なども原因とされている。

加齢も関係し、過激なダイエットや重い病気で急に痩せたときにも起こりがちだ。

右耳が耳管狭窄症で、左耳が耳管開放症というケースもある。

 

耳管狭窄症は重篤な病気ではないが、症状を放置していると中耳炎になりやすい。

そうなると治療が長引くこともある。

他の病気と見分けることも欠かせない。

特に突発性難聴では早めの対処が必要だ。

症状が出たら1週間以内には診察を受けるのが望ましい。

<コメント>

突発性難聴の治療は「1週間以内」というよりも、可及的速やかに治療を開始することと理解していました。

突発性難聴は原因がわかっていないので、対症療法として薬物療法が行われます。主となる薬はステロイド薬で、内服または点滴で投与されます。

治療の効果は1週間ほどで現れます。

この時点で改善していれば治る可能性は高いといえますが、改善していなければその状態が固定することが多いのが実情です。

突発性難聴は急性疾患であり、治療期間の目安は1週間、長くても2週間で、それ以上、治療を続けても改善は見込めません。

薬物療法以外では、血液改善を目的にした高圧酸素療法や混合ガス療法、星状神経節ブロック、鍼治療なども行われていますが、これらの効果については評価が定まっていません。

つまり、薬物療法の効果がなかった人は、その後によくなる可能性は非常に低いといえます。

しかし、聴力が低下するのは片側の耳だけなので、社会生活上の問題はほとんどありません。

そして再発することもない、といわれています。

 

 

<番外編>

耳管狭窄症

https://medicalnote.jp/diseases/耳管狭窄症

・耳管が狭くなる原因として最も多いものは、感冒(風邪)などの炎症により耳管周囲の粘膜が腫れて耳管が狭くなることです。また、副鼻腔炎蓄膿症)では、膿性の鼻汁が後鼻漏として咽頭側の耳管周囲に垂れてきますが、その鼻汁が流れ込むことで耳管が閉塞して狭くなることもあります。

さらに、咽頭側の耳管周囲にがん(上咽頭がん)ができることや、上咽頭にある扁桃腺(アデノイド)が腫れることで耳管の周囲が閉塞し、耳管狭窄症が発生することもあります。

・鼓膜の動きが制限されると音の振動が十分に伝わらなくなり「耳閉感」が生じるます。

さらに、中耳内の圧力が低い状態が続けば、中耳内の粘膜から滲出液が発生・貯留(滲出性中耳炎)し難聴となります。

・耳管狭窄症では、ティンパノメトリー(外耳の圧力を変化させて、それに関連した鼓膜の動きを測定する検査)を行い、中耳内の圧力と周囲の大気圧の差を測定します。中耳内の圧力と大気圧に差があれば耳管狭窄症を疑います。