乾燥「かゆみストレス」①(1/3)

乾燥「かゆみストレス」 やってはダメな4つのし過ぎ ①(1/3)

○ 皮膚にかゆみを感じたら、かきまくる

○ 入浴時に体をゴシゴシとこすってしっかりと洗いたい

○ 手も体も洗浄力の強い洗浄剤でサッパリと洗うのが好きだ

○ 入浴後、手洗い後はしっかりと水気を拭きとって乾かすことが大切だ

○ 手があれた時に塗るクリームはベタつかないように薄く塗るようにしている

 

これは、乾燥による「かゆみストレスNGルール」だ。

一つでも思い当たるものがあれば、すぐにでも改めることが、寒い季節の肌の乾燥とかゆみを止める近道となる。

 

たかが「かゆみ」と思ってはいけない。

ともするとかゆみは、かくことで次のかゆみを呼び込み、炎症を起こしてさらに強いかゆみへと増大する「負のスパイラル」を招く。

いったん「かゆみループ」にはまってしまうと、日中の集中力や夜の睡眠にも大きな影を落とす。

負の連鎖を断ち切り、「かゆみストレス」から解放されるには、毎日の行動を見直すことが大事だ。

 

◇  ◇  ◇

 

かゆみは他人に伝染するか?

―― 肌をかくしぐさが伝染する話はよく話題に上る。

他の季節に比べて特に冬はかゆみを感じやすい時期のため、なおさら他人のしぐさを見てかきたい気持ちになる。

 

皮膚のバリア機能が壊れると、刺激に敏感に

特に寒くなる季節に体の「かゆみ」を感じがちなのはなぜだろうか?

―― 気温が低下すると、体温を逃がさないように血管が収縮。

皮膚表面の血流が低下するので、皮脂や汗の分泌も低下して皮膚は乾燥してしまう。

乾燥が進むと、皮膚のバリア機能が壊れて刺激に敏感になり、かゆみを感じやすくなるのだ。

 

「皮膚バリア」とはどういうものだろうか?

―― 大きくは、皮膚の表面を覆う表皮と皮脂膜が皮膚バリアに相当する。

なかでも角層の下にある顆粒層と皮膚表面の皮脂膜がバリアとして重要な役割を担っていて、これが細菌やアレルゲンなどの外からの刺激をブロックする。

中から水分が蒸発するのを防ぐフタとして肌の潤いを保ってくれる役割をする。

皮膚は、角層、顆粒層などからなる「表皮」と、「真皮」「皮下組織」の三層構造になっている。

表皮の上の皮膚表面にある皮脂膜は、外部からの異物の侵入を妨げるワックスの役割を担う。

さらに、表皮の中の顆粒層の細胞の一部が極めて重要なバリア構造といわれ、そのわずか0.02mm、食品用ラップ2枚ほどの薄さの顆粒層の一部が、皮脂膜とともに肌の健康を守る「皮膚バリア」として重要な役割を担っているのだ。

車で例えれば、皮脂膜は油の膜ですから「ワックス」。

顆粒層は金網のようなしっかりしたバリアのため、鉄板をサビから守る『塗装』にあたる。

この塗装が極めて大切となる。

なかでも、顆粒層に多く含まれる「フィラグリン」と呼ばれる成分が重要で、異常があるとアトピーを引き起こしやすくなる。

この大切な顆粒層のバリアを守っているのが皮脂膜ともいえる。

スキンケアは、皮脂膜を補って顆粒層のバリアを守るという意味で、とても大切となる。

 

かゆみとの関係はどうだろうか?

―― 皮膚バリアが弱いと、外部からさまざまな異物が侵入してかゆみを引き起こす。

いわば、「かゆみ」は「バリアが壊れて異物が侵入しているから注意して!」という

体からの信号なのだ。

 

かゆみを感じて肌をかき始めると、たいてい同じところをかき続けてしまう。

――爪でかきむしって顆粒層を含む皮膚バリアを壊してしまうと、本来は表皮と真皮の境界部までしか伸びていないかゆみを感じる神経が「細胞が壊されたぞ!」というシグナルを受けて、表皮内の角層のそばまで伸びてくるので知覚が過敏になり、かゆみが強くなるのだ。

壊れたバリアから細菌やアレルゲンが侵入することでもかゆみの神経は刺激される。

異物を払いのけようと無意識にかきむしることで、ますますバリアを壊して炎症やかゆみを悪

化させてしまうのだ。

 

参考・引用一部改変

日経Gooday 2019.12.18

 

<関連サイト>

皮膚のかゆみが生じるメカニズム

https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/783