糖尿病 新型コロナで重症化リスク

糖尿病 血糖値管理徹底を 新型コロナで重症化リスク

自己判断せず医師に相談/オンラインの講座も活用

新型コロナウイルスに感染すると重症化リスクが高い基礎疾患(持病)の一つが、国内で予備軍を含めて推計約1千万人の患者がいる糖尿病だ。

不安を抱える患者も少なくないが、こまめな手洗いなど基本的な感染予防策のほか、日ごろから血糖値を適切に管理することが大切になる。

外出や集会が難しい中、オンライン開催の患者向け講座もある。

 

重症化リスクを過度に心配することはないが、血糖コントロールは大事だ。

 

摂取した炭水化物の量に応じてインスリンを調整する新しい食事療法「カーボカウント」や、持続的にインスリンを皮下に投与する「インスリンポンプ」などの先進デバイスも登場した。

 

新型コロナの影響でセミナーの中止を迫られる中、初めてオンライン開催に踏み切った団体がある。この企画は動画投稿サイトでライブ配信され、北海道から沖縄まで全国の患者ら約200人が参加。

質問も多く寄せられた。

関係者は「重症化しやすいとの情報に、多くの患者が不安を抱えている。情報を得る機会が制限される中、今後もオンライン開催を続けていきたい」と話す。

 

糖尿病は膵臓によるインスリン分泌などに問題を抱え、高血糖を起こしやすい。

全身の血管が傷つくほか、白血球などの免疫機能も低下し、感染症全般に注意が必要だ。

厚生労働省は新型コロナの「相談・受診の目安」で、重症化しやすい基礎疾患に挙げ、発熱やせきなど軽い風邪症状でもすぐに相談するよう求める。

 

2月に世界保健機関(WHO)や中国の専門家チームなどがまとめた報告書では、新型コロナの致死率は基礎疾患がないと1.4%だったが、糖尿病患者は9.2%に上った。

高血圧(8.4%)や、がん(7.6%)を上回った。

 

高い致死率だが、医療体制が逼迫したとみられる時期の調査である点も考慮すべきだ。

糖尿病患者は血栓など血液が固まる合併症が多いが、新型コロナ患者でも血栓などが報告されている。

日ごろからうまく血糖値を管理することが重要だ。

 

体調を崩した場合は、血糖コントロールが難しくなるため注意が必要だ。糖尿病患者が発熱や嘔吐、食欲不振などに陥った状態は「シックデイ」と呼ばれ、インスリン製剤が欠かせない患者は特に高血糖を招きやすい。

 

シックデイの対処法として、安静に努めるほか、十分な水分の摂取、スープやおかゆなど消化に良い物を食べることが勧められる。

 

こまめに血糖値を測定し、自己判断でインスリン注射を中断しないことも大切だ。

服薬量の調整が必要な場合もあり、悩む場合は電話などで主治医と相談すべきだ。

新型コロナの感染を恐れて受診を控えるなど、治療を放置してしまうケースも出ている。

医師と治療方針を相談し、継続して受診したい。

 

参考・引用一部改変

日経新聞・夕刊 2020.5.27 

 

<関連サイト>

「シックデイ」の対処法と注意点

https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/1158