糖尿病治療、やめないで

糖尿病治療、やめないで 足切断・失明のリスク増 

主に生活習慣が原因でなる「2型糖尿病」の患者が自分の判断で治療をやめてしまう場合が少なくない。

初期は症状が目立たないので、仕事などが忙しいとつい医療機関から足が遠のきがちだ。

しかし、放置すると、足の切断や失明にもつながりかねない。

治療中断を防ぐ取り組みが広がっている。

 

通院継続、病院が工夫

愛知県豊田市の会社員男性(52)は1995年、2型糖尿病と診断された。

身長165センチで90キロあった体重は62キロまで減らした。長期的な

 

近くあったが、直近の検査では6.9%。目標の6.5%に近づきつつある。

以前は残業で夜遅くなることも多かったが、月1度の通院と服薬を欠かさず続けた。

男性は「仕事と治療の両立が大変な時期もあったが、通院を続けられているのは、かかりつけのクリニックのおかげ」と話す。

 

糖尿病の治療中断は30~50代に多い。

まだ体調もそこまで悪くない。

仕事そ優先しがちだ。

 

2型糖尿病は最初は自覚症状が乏しいことが多いが、進行すると視力が落ちる網膜症や足の切断につながる神経障害、腎不全を招く腎症になる。

 

厚生労働省研究班は2014年、年間22万人が糖尿病治療をやめているとの推計をまとめた。

患者の8%を占める。

「仕事で忙しい」や「体調がよい」、「経済的な負担」などの理由が多かった。

 

埼玉医大病院では、服薬をやめてしまったり、生活習慣の改善がみられなかったりする患者に1週間ほど入院してもらっている。

治療の重要性を説明し、食事のとり方などを指導する。

退院後も治療を継続してもらうのがねらいの一つだ。

コメント

大学病院での治療継続は時間的に余裕のある方でない限り継続治療は困難です。

大病院もそうですが、病院での治療を望む方は一般診療所で診療できないケースは意外と少ないのではないかと思われます。

もしかして、大病院に継続通院される方の多くは「入院が必要となった場合、入院しやすい」と思っているのかも知れません。

大病院では主治医(担当医)が変わることは日常茶飯事のことです。

教授や部長クラスは定年まで勤務するため、ずっと診察はしてもらえますが、それだけに外来受け持ち患者も多く、その結果として待ち時間も多くなります。

(予約診療も、予約診察時刻はあってないようなものです)

 

糖尿病による死亡率が長年全国ワーストー位だった徳島県は昨年3月、「糖尿病性腎症重症化予防プログラム」を作った。

市町村や健保組合が診療報酬明細書から治療中断している患者を調べ、手紙や電話、家庭を訪問して受診を促す。

 

パソコンやスマートフォンの画面上で相手の顔を見ながら通話する「オンライン診療」が、4月から公的医療保険の対象となる。

患者によってはこれまでほどの頻度で医療機関に行かなくても済み、3ヵ月以内に一度検査が必要な時に受診すればよくなる。

処方箋は郵送してもらい、近くの薬局で薬を受け取れる。多忙な患者の受診中断の防止に役立つと期待され、導入する医療機関が増える可能性がある。

 

中断の方が医療費総額は大

治療中断が合併症を引き起こしていることを示す報告もある。

 

九州大の研究グループは16年11月、2型糖尿病患者1万人以上を追跡調査した結果を専門誌に発表した。

治療を始めて1年以内に中断した人は、受診を続けた人に

比べ、網膜症や腎症、神経障害を発症する確率が1.8~2倍高かった。

 

糖尿病と診断されて5年目以降の医療費の総額は受診を中断した人のほうが、受診を続けた人に比べて高かった。

中断後すぐは医療機関を受診しないため医療費がかからないが、その後に合併症を発症して治療が必要になり、結果的に医療費が増えたとみられる。

 

最近、糖尿病患者はその後に認知症やがんなどにかかりやすくなるとの報告が相次いでいる。

その原因として、インスリンが働きにくくなったり高血糖が続いたりすることで、体内の細胞を保護する機能が低下したり、細胞内のストレスが増えたりする可能性が指摘されている。

 

糖尿病は様々な病気を招く可能性があるが、適切な治療を受ければそうした病気になるリスクを下げることができる。

糖尿病と診断された場合は医療機関を受診し、治療を続けてほしい。

 

参考・引用一部改変

朝日新聞・朝刊 2018.2.21

 

<関連サイト>

糖尿病の治療中断

https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/1207