抗糖化作用のある食物をとる
次の対策は「糖化反応の抑制」。
つまり、糖化反応を抑制する作用(抗糖化作用)のある食物を積極的にとることで、糖化からカラダを守ろうというものである。
抗糖化作用を持つ植物素材があることが報告されている。
具体的には、ごぼう、レンコン、モロヘイヤ、枝豆、アスパラガス、大豆などに抗糖化作用が期待できる。
また、こしょうやチリパウダーといったスパイス類、ローズマリーやバジルなどのハーブ類、味噌、醤油といった日本の伝統的な発酵食品、さらにはレモンや梅干しなどクエン酸を含むものにも同様の作用が期待できる。
これらの食材を組み合わせて、日々の食事に取り入れたい。
これらの野菜やスパイス類に含まれるポリフェノール類に抗糖化作用があると考えられている。
植物以外では、先ほど登場したヨーグルトにも抗糖化作用が期待できるそうだ。
つまりは、家飲み、外飲みともに、これら抗糖化作用のある食材を使ったおつまみを選べば、糖化の抑制に一役買ってくれる。
塩ゆでした枝豆、レンコンのきんぴら、アスパラの豚バラ巻きなどが該当する。
また、糖質をとるときは、セットで食べる食材に気を配るといい。
糖質の高いポテトサラダなどを食べたいときは酢の物とセットにする、〆(しめ)のお茶漬けがどうしても食べたいときは梅干しを入れるなど工夫するといい。
もちろん“毎回〆のお茶漬け”はNGにしても、絶対食べちゃダメというのでないなら、ストレスなく続けられそうだ。
◼︎ 緑茶や健康茶にも、抗糖化作用が期待できる
このほか、緑茶や健康茶などにも抗糖化作用が期待できる。
ポリフェノールの一種であるカテキンを含む緑茶などにも、AGEsの生成抑制機能が期待できる。
このほか、ポリフェノールの一種クロロゲン酸を含むコーヒー、カカオポリフェノールを含むココアも同様の効果が期待できる。
なお、コーヒーはブラックにするなど、苦みを味わう工夫も必要だ。
80種類以上の健康茶を調べた結果がある。
効果が期待できると判明したのは、甜茶、ドクダミ茶、ルイボスティー、柿の葉茶、しそ茶、グアバ茶、バナバ茶、クマザサ茶など。
単独で飲んでもいいが、ブレンドすることによって相乗効果が生まれる。
左党脳を持つ身としてはすぐに緑茶ハイ、ルイボスティーハイという考えが浮かんでしまうのだが、これはあくまでお茶として飲んだほうがよい。
1日1~2杯も飲めば、効果は期待できる。
一度できてしまったAGEsは分解されにくいが、AGEsを分解する作用を持つ成分も報告されている。具体的には、ヨモギ、ざくろ果実、ゆず果皮などに確認されている。甜茶やクマザサ茶などの健康茶にもAGEsの分解抑制を促進する可能性があることも分かってきた。
なお、AGEsは食品にも含まれており、この一部が体内に取り込まれるという報告もある。
一般にAGEsは焼いたり揚げたりした食品に多く含まれるといわれており、揚げ物や焼き物は控えたほうがいいという意見もある。
ただし、現時点ではまだ明確になっていないことも多い。
食品の加熱調理には、衛生状態の確保、色目や風味の付与などプラスの要素も多くある。
揚げ物、焼き物ばかりをたくさん食べるといった食生活は避けたいが、野菜なども一緒にとるなどバランスよく食べていれば、過度に気にする必要はない。
◼︎ やはり「適量」に抑えるのが大切、深酒は厳禁!
さて、ここまでで普段の食生活における糖化対策は分かった。
では飲酒はどう気をつけたらいいのだろう?
糖化を進めないためには、世に言う「適量」を守るのが賢明だ。
日本酒なら1日1合、ビールなら中瓶1本、ワインならグラス2~3杯程度だ。
アセトアルデヒドとAGEsの生成が密接に関係していることは確実だからだ。
翌日に残るような深酒は控えたほうがいい。
ちなみに、喫煙者、睡眠不足の人も体内のAGEsの量が高いことが確認されている。
お酒好きの愛飲家で、深夜まではしご酒をするような方はさらに注意が必要だ。
深夜まで飲み歩いていると、胃もたれもあって、かなりの確率で朝ごはんが食べられるような状態ではなくなる。
朝食抜きは昼食後の血糖値の上昇が急激になり、糖化を促進させやすい。
血糖値ケアのためにも朝食がきちんととれるような飲み方を心がけよう。
飲み過ぎ(酒量が多い)や睡眠不足が良くない理由は、こんなところにもあるのだ。
◼︎ 日本酒やワインが糖化を抑えてくれる
酒量が分かったところで、次に気になるのがお酒の種類による違いだ。
お酒といっても、ビール、日本酒から、ワイン、焼酎、ウイスキーなどまでさまざまある。
糖化による影響を少しでも抑制するには、どんな種類のアルコールを選べばいいのだろうか。
実は、お酒の中には、AGEsの生成を抑制するものがあるのだ。
それは日本酒だ。
日本酒は糖質を含むので意外と思われるかもしれないが、量さえ飲まなければ抗糖化作用が期待できることが分かった 。
醸造アルコールを添加した本醸造タイプ、純米酒の2タイプに分け、精米歩合やアルコール度数に大差がない京都産の30種類の日本酒を使って実験したところ、醸造アルコールの添加の有無に関係なく、AGEsを抑制することが確認されている。
しかし、日本酒のどの成分にAGEsを抑制する効果があるかは、まだ明確になっていないという。
ただし、八木さんによると、近い将来、成分の特定が期待できるとのこと。
なお、日本酒にAGEsの生成抑制効果が期待できるとはいえ、アルコール自体は糖化を進める存在。あくまで「適量」を守ることが大前提であることを忘れてはいけない。
日本酒にそんなうれしい効果があるとなると、他のお酒がどうなのか、気になるところだ。
日本酒と同じ醸造酒であるワインもまた抗糖化作用がある。
これはぶどうに含まれるポリフェノールによるものと考えられる。
特に良いとされるのはポリフェノールを豊富に含む赤ワインだ。
ポリフェノールは抗酸化作用もあるから、糖化、酸化ともに抑制する効果が期待できる。
もちろん、こちらも適量が基本だ。
その他、樽で熟成させるウイスキーも、樽由来のポリフェノールが含まれることから、AGEsを抑制する効果が期待できるという。
◼︎ 通勤時は階段を! 食後の運動で血糖値上昇を抑える
さて、これまでは食生活を中心に糖化を抑制する方法についの話だったが、他の生活面ではどういったところに注意したらいいのだろうか。
食後の運動が血糖値の上昇を抑えて、糖化の進行を抑制してくれる。
朝の通勤時は「階段」を使うようにしてみよう。
通勤時間は朝食をとってから1時間後くらいにあたり、ちょうど血糖値が高くなっている時間帯だ。カラダを動かすことで、食事によって上がった血糖値を早く下げられる。
食後に階段のステップ運動を3分間するだけで血糖値の下がり方が早くなったという報告もある。
また、日中にデスクワークをしていると、昼食後の午後1~2時くらいに眠くなるが、会議などでの移動は、眠気覚ましも兼ねて、血糖値を早く下げるために、エレベーターでなく階段を使うようにしよう。
このくらいの運動なら、無理なく続けられそう。
塵(ちり)も積もれば山となる。
食事の後は、階段を使う、1つ前のバス停で降りて歩くなど、「ちょい運動」を意識するだけで、少しずつ糖化を抑えることができる。
参考・引用一部改変
日経Gooday 2018.11.16