味覚障害、亜鉛不足が原因の6割

味覚障害、高齢化で増加 亜鉛不足が原因の6割

高齢化に伴い、味がわからなくなったり、おかしくなったりする味覚障害になる人が増えている。

昨年(2017年)、原因の多くを占める亜鉛不足を治療する薬が承認された。

味覚障害は命に関わらないと侮るのは禁物だ。

食欲不振をまねき、身体や認知機能低下にもつながる。

 

東京都内に住む女性(80)は3年ほど前から、口の中に何も入れていないのに唾液が苦く感じるようになった。

5年前に舌に痛みを感じて、近所の耳鼻咽喉科などを受診したが「異常はな

い」と言われていた。

苦みの感じ方がひどくなり、かかりつけの内科医を受診すると、亜鉛不足と診断された。

亜鉛を補う薬を服用したが味覚は思うように改善しない。

 

内科医から紹介されて、東京医科歯科大を受診。

亜鉛不足に夫が亡くなるなど精神的なストレスが重なったことが原因と診断された。

気持ちを落ち善かせるために「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」なども試したが、なかなか治らないという。

コメント;

結局、専門医が診療しても治らなかったというケースの紹介です。

 

味覚障害は味が薄く感じたり、わからなかったりして現れることが多い。

逆に、何もないのに味を感じたり、本来とは違う味に感じたりすることもある。

舌の痛みを伴うこともある。

 

東京女子医大のY講師は「原因の多くに亜鉛不足が関わっている」と話す。亜鉛が不足すると昧を感じる細胞が再生できなくなる。

コメント;

たとえ亜鉛不足が原因であっても亜鉛補給だけでは治らないということでしょうか。

亜鉛不足が原因で、非可逆的な神経障害が起こり、その後に亜鉛補給をしても意味がない、というストーリーも考えられます。

また、組織(特に口腔内)中と血中の亜鉛濃度が比例するとは限らず、両者に乖離がみられる可能性はないでしょうか。

 

健康な人でも食生活の偏りや過度の飲酒や運動などで亜鉛が足りなくなることがある。

また、ほかの病気で服用している薬の作用や消化器の病気で亜鉛が体内に吸収されるのを妨げられたり、糖尿病、腎臓などの病気で亜鉛が体外に排泄さ

れる量が増えたりする。

 

治療には亜鉛を補う薬を服用する。

これまでは亜鉛を合む胃潰瘍の治療薬が使われてきたが、昨年3月に銅過剰症「ウィルソン病」の治療薬「ノベルジン」が亜鉛不足の治療薬として承

認された。

 

日本大学病院の調査によると、亜鉛不足との関連が疑われる味覚障害は全体の6割ほど。

ほかに、うつ状態など心因性によるものや、神経障害、嗅覚障害が影響しているもの、口の中の唾液が減るドライマウスによるものなどがある。

 

心因性は嫌いな上司との食事で緊張し昧がわからないのと似たような状態だ。

ストレスの原因を除くのが第一だが、よくなるとは限らず最も治りにくい。

 

食欲不振で身体機能低下も

日本口腔・咽頭科学会の調査では、耳鼻咽喉科を受診した味覚障害の患者は1990年は推計で年間約13万9千人だったのが2000~02年は約24万5千人に増えた。

高齢化が増加の原因という。

 

味を感じるセンサーの味覚は加齢で減るとされ、高齢者は味の感度が低くなりやすい。

複数の薬をのんでいる人が多いのも要因だ。

症状が軽いうちは、調味料で調整してしまい、なかなか気づきにくい。

 

家族が同じものを食べてみて味が異常に濃くないかや、調味料を大量にかけていないかを確かめるとよい。

 

現代人は亜鉛不足になりがちだ。

その理由は食材や食生活の変化に原因がある。

加工食品の添加物には亜鉛の体内への吸収を妨げるものがある。

 

味覚障害になると食事内容が偏り、さらに亜鉛が足りなくなるという悪循環に陥る。

味覚異常は食欲不振の原因にもなり、特に高齢者は身体や認知機能の低下

につながる。

亜鉛は牛、豚、鶏のレバー、カキやホタテなどに多く含まれる。

不足を補うにはこうした含有量の多い食品を意識して食べるとよい。

 

参考・引用一部改変      

朝日新聞・朝刊 2018.1.24

 

<関連サイト>

味覚障害 高齢化で増加

https://aobazuku.wordpress.com/2020/08/05/味覚障害%E3%80%80高齢化で増加/