13歳未満の子は「2回 WHOは「9歳以上は1回」
新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行に備え、生後6カ月~小学2年生の子どもへのインフルワクチン優先接種の呼びかけが26日から始まった。
13歳未満の子どもには2回接種が必要だが、実は世界保健機関(WHO)や米疾病対策センター(CDC)は、「9歳以上は1回でいい」としている。
1回で済むなら、そうしたいのが親心。
なぜこんな「日本ルール」が存在するのか。
13歳未満は2回接種
コロナとインフルは、初期の症状ではほとんど見分けがつかない。
厚労省はインフルの感染者を減らすことで医療現場の混乱を避けたいと、今シーズンのワクチンの供給見込み量を約3178万本と、過去最大規模にした。それでもワクチンが足りなくなるのではと心配されている。
日本小児科学会や日本感染症学会など21団体でつくる予防接種推進専門協議会は8月、インフルのワクチン不足が起きた場合、WHOやCDCの例を参考に、接種回数を減らし、より多くの子どもがワクチン接種を受けられるような対応を厚労省に求めた。
日本では13歳以上は1回接種だが、13歳未満は2回接種を原則としている。
一方、WHOは9歳以上は1回接種を推奨している。
米国のCDCも同じく、9歳以上は1回接種としたうえ、前の年にワクチンを打った場合は、生後6ヵ月から8歳でも1回でいいとしている。
なぜ、日本は2回接種なのか。
昔はワクチンの副反応で熱を出す頻度が高かったことが背景にある、と専門医は説明する。
そのため1回に接種する量を少なく設定し、効果を保つために年2回接種となったという。
海外では、日本のように2回接種する国の事例はない。
2010年までは、小児のインフルワクチンの接種用量は細かく決められていた。
これが11年に、WHOが推奨する用量に基づき、6ヵ月から3歳未満は1回0.25ミリリットル、3歳以上は0.5ミリリットルをそれぞれ2回接種と、シンプルに二つの区分になった。
11年以降、前年度に接種した生後6ヵ月~9歳未満と、接種歴にかかわら
ず9歳以上は1回でよいのではないかと考え、学会や国などに提案する動きがある。
ただルールを変える妥当性を見いだせないとする意見もあり、一筋縄ではいかないのが実情だ。
医師に裁量権説明十分に
厚労省によると、接種回数を1回に変更するには、ワクチンメーカーが臨床試験結果などの結果を示し、法に基づく変更申請をする必要があるという。だが現時点でこうした動きはない。
一方で医師の裁量権が認められているので、現場で接種回数を1回にすることは、問題ないという。
こうした「グレーゾーン」の存在を示すデータがある。
国立感染症研究所の18年度サンプル調査によると、ワクチンを打っていない子も含めて、13歳未満で1歳まででは、2回接種だった子どもは20~30%台だったが、1回接種だった子どもも数%から10%含を占めた。
ある専門家は「初めて接種を受ける時は2回接種が必要だが、それ以降のシーズンは、通常の1回接種で感染を防げるレベルの抗体ができる。1回でも2回でも効果に大差はない」と話す。
過去の研究では、流行する型によって違いはあるが、1回接種と2回接種の有効性の差はわずか、
という結果が出ている。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2020.10.28
<関連サイト>
インフルエンザワクチン 日本と海外の接種条件
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/1615