30~50代女性は橋本病に注意

更年期障害と似てるけど 30~50代女性は橋本病に注意

橋本病は、生命維持に欠かせないホルモンの1つ、甲状腺ホルモンを分泌する甲状腺に慢性的な炎症が起こる病気だ。

甲状腺機能に異常をきたす病気の中で最も多い病気で、全人口の約3~5%の割合で発生するといわれている。

 

橋本病は、何らかの理由で自分の体の組織を異物とみなして攻撃する抗体(自己抗体)ができる、自己免疫疾患の1つだ。

甲状腺に炎症を引き起こす自己抗体ができるために、甲状腺が慢性的な炎症を起こして腫れるようになり、正常な組織が少なくなり、甲状腺機能が下がる。

そのため、橋本病は慢性甲状腺炎とも呼ばれる。

 

健康診断の触診で首の腫れを指摘されて見つかるケースが多く、確定診断には、触診のほか、血液検査や超音波検査が用いられる。

血液検査で甲状腺に対する自己抗体が陽性となり、触診で甲状腺の腫れ、または超音波検査で甲状腺の炎症が確認されると、橋本病と診断される。

 

橋本病は、甲状腺機能の低下をきたす病気の1つだが、実際に甲状腺機能が低下する人は4~5割にとどまる。

橋本病と診断されても、甲状腺機能が正常範囲であれば薬を使わず、半年か1年ごとに甲状腺機能検査を受けて様子を見ていく。

治療を行う場合は、レボチロキシン(商品名チラーヂンほか)という飲み薬で、不足する甲状腺ホルモンを補う。

 

30~50歳の女性に多く、更年期障害と間違われやすい

橋本病の男女比は1:10~20程度と、圧倒的に女性に多く、中でも30~50歳の女性が多いのが特徴だ。

遺伝が関係する傾向もある。

女性に多い理由は分かっていない。

甲状腺機能が低下してくると、寒がりになる、倦怠感、肌の乾燥、便秘、太るなどの全身症状が現れる。

これらの症状は、更年期を境に現れるサインとよく似ており、更年期障害を疑って、橋本病の発見が遅れやすいのが問題だ。

ただし、多くの症状は共通するが、橋本病でホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)を起こすことはまずないと言っていい。

ホットフラッシュの有無が、両者を見分けるポイントの1つと言えそうだ。

 

橋本病に気づくには、血液検査で甲状腺機能を調べるのが一番だが、通常、自治体などの健康診断では項目に含まれていない。

橋本病には遺伝が関与するため、母親や叔母など、近親者で甲状腺の病気になった人がいれば、30~40代のうちにオプションで検査を追加するとよい。

甲状腺機能が低下すると不妊や流産をしやすくなるので、妊娠を希望する人は早めに検査を受けたい。

 

橋本病で見られる主な症状

⬜︎ のど仏の下が腫れている

⬜︎ 眠くてだるい、疲れやすい

⬜︎ 寒がりになった

⬜︎ 過食していないのに太った

⬜︎ 便秘するようになった

⬜︎ 物忘れが増えた

⬜︎ 動作が緩慢である

⬜︎ 肌が乾燥する

⬜︎ むくむ

⬜︎ 悪玉のLDLコレステロールが噌えた

⬜︎ 声がかすれる

甲状腺機能低下症と同じ)

 

参考・引用一部改変

日経Gooday 2020.4.20