頭のかゆみ、ヘアケアが原因? アレルギーに注意
仕事で徹夜が続いたり、風邪で2~3日入浴できなかったりしたときなどに、ひどく頭がかゆくて困った経験は誰にでもあることだろう。
しかし、仕事の集中力を損ねるほどのかゆみが頻繁にあるなら注意が必要。
実は体質に合わないヘアケア製品が原因の可能性がある。
頭のかゆみの原因は「皮脂の分泌」「アレルギー」「その他の病気」に分けられる。
まず、ごく一般的な洗髪できなかったときのかゆみ。
原因は頭皮の毛穴から分泌される皮脂だ。
皮脂は時間とともに過酸化脂質へと変化し、頭皮に刺激を与える。
誰でも4~5日頭を洗わなければかゆみを感じる。
こうした皮脂の影響を特に受けやすいのが脂漏性皮膚炎という体質のある人である。
毛髪がベタベタしやすく、鼻筋などの顔面や前胸部などでも皮脂分泌が活発なタイプだ。
しかも、皮脂が多いだけではなく、その性質も頭皮に炎症を起こしやすいように変化している。
■ カビで症状悪化
こうした脂漏性皮膚炎タイプの症状を悪化させる要因が、誰の皮膚にもすんでいるカビの仲間、マラセチアだ。
脂肪を栄養にして繁殖する菌で、脂肪を分解してつくる分解物も皮膚の刺激となる。
脂漏性皮膚炎の人は、一般の人よりこの菌が多いとされ、よりいっそう頭がかゆくなりやすい。
このかゆみの対処法は毎日の洗髪だ。
それでも強いかゆみがある場合は、マラセチアの量が多い可能性がある。
調べるには皮膚科での顕微鏡による診断が必要だが、検査をしている医療機関が近隣にない場合は、ミコナゾール硝酸塩などの抗真菌剤を配合した市販のシャンプーを使ってみるといい。
頭のかゆみとして実は多いのは「アレルギー」だ。
かぶれともいわれる。
アトピー性皮膚炎があるなど、アレルギー反応を起こしやすい体質の人は、様々な物質による皮膚の炎症に悩まされることがある。
使っているシャンプー、リンス、ヘアトニックなどが原因のことも多い。
なかには、かゆみ予防に使っていた抗真菌剤シャンプーが原因のこともある。様々な生活用品の中でも、最も症状が強く出るのが毛染め(ヘアダイ)だ。
強い頭皮のかゆみのほか、全身の皮膚が赤くなるなどの症状をが出ることがある。
本人は「長年使っているから、それが原因であるはずはない」と信じないこともある。
しかし、毛染めをやめて染めた毛を切ると、全身の症状も消失するケースもある。
■ 襟足などに赤み
毛染めと比べてシャンプーやリンスの症状は軽度のことが多い。
それだけに、気づかずにいつまでも悩む場合もある。
サインとなるのが肌に出る赤みだ。
洗髪剤は流れ落ちるので、襟足、首筋、胸元などが赤くなる。
シャンプーやリンスがすすげているかも確かめたい。
特にリンスは「髪を守る成分が入っていそうだ」と勘違いして十分すすがない人もいるが、1分以上すすごう。
ただし、洗髪でゴシゴシこすって頭皮を傷つけるとアレルギーを引き起こす原因になりやすいので要注意だ。
傷口から体に洗髪剤が入ると、それを異物と認識した免疫細胞が排除しようとして集まる。
これを繰り返すうち、過剰に反応して皮膚炎が起きる。
シャンプー、リンスが原因であることが考えられたら、敏感肌用、低刺激などと記載された製品に切り替えたい。
ほかにも皮膚科の病気があることがある。
水虫の菌が頭に症状を起こす頭部白癬や、尋常性乾癬だ。
冬の乾燥時期に悪化しやすい乾癬は、盛り上がったカサカサの紅斑が頭や体にできる。
原因は感染症や薬、内臓の病気などとされるが明確ではない。
初期には脂漏性皮膚炎と間違えやすい。
洗髪方法や洗髪剤などを変えて改善しないなら「たかが頭のかゆみぐらい」とためらわず、皮膚科を受診した方がいい。
まずは医師と相談して体質を知ること。
脂漏性皮膚炎は自分でもタイプが分かりやすい。
アトピーなどアレルギー体質も皮膚科医が診れば区別がつくことが多い。
子どものかゆみ、シラミかも
小さな子どもが強い頭のかゆみを訴えることがある。
しかし保育園児、幼稚園児、小学生に脂漏性皮膚炎はほぼない。
アトピー性皮膚炎などがない場合は、アタマジラミを考えたい。
2ミリほどの成虫が頭部に寄生し頭皮から吸血。
血を吸われた場所がかゆくなる。
毛髪の中に成虫か0.5ミリぐらいの白い卵が見つかった場合、まずは毎日洗髪。
10日間ほど続ければ成虫や幼虫は流せる。
ただ、卵は残る。
髪を短くして、すき櫛を使うと、成虫や幼虫だけでなく、卵も取り除くことができる。
駆除薬もあるので医師や薬剤師と相談して利用するといい。
参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2015.11.7
<関連サイト>
がんこな頭のかゆみの原因と洗髪法