食中毒 つけず増やさず…3つの原則
ジメジメとした梅雨の季節。
気温も上がり、蒸し暑さが増してくる。
気をつけたいのは、食中毒だ。
原因を知り、調理の際に注意することで、防ぐことができる。
厚生労働省の統計によると食中毒は、過去5年間で年間1千件程度発生し、1万2千~2万人の患者が出ている。
発生原因となった場所は飲食店が5~6割と一番多いが、2番目が家庭だ。
食中毒の原因は、細菌、ウイルス、寄生虫、化学物質、フグやキノコなどの自然毒に大きく分けられる。
高温多湿になるこれからの季節に、気をつけたいのは細菌性の食中毒だ。
厚生労働省は、食中毒を防ぐために、原因となる菌やウイルスを「つけない」「増やさない」「やっつける」の3原則を提唱している。
新鮮な食材を選び、調理前に手洗いをする。
「つけない」とは、生の肉や魚を扱ったまな板や包丁を洗ったり、分けたりしてほかの食材につけないようにすることだ。
多いのはカンピロバクター菌による食中毒。
市販の鶏肉の6割に菌がついていると思って調理したほうがいい。
見落としがちなのは、鶏肉を解凍するときに出る汁。
菌が含まれている可能性があり、近くで調理したサラダなどに付着し、食中毒を起こすことがある。
「増やさない」ためには、温度管理が大切だ。
今の季節が細菌にとって一番気持ちいい季節で、増えやすい。
一晩ぐらい大丈夫だと思って置いておくのはやめた方がいい。
調理後、当日食べない分や作り置きする分は、冷めたらすぐに冷蔵庫に入れることがポイントとなる。
厚労省によると、細菌は10度以下で増殖がゆっくりとなり、零下15度以下だと増殖が停止する。
それでも、家で作った作り置きの食事の場合は、3日以内に食べきるのが理想だ。
お弁当を作る時は、生温かい状態で詰めるのが一番危険だ。
作りたての食材ならば、すぐに冷ましてから弁当箱に詰める。
扇風機で風をあてたり、保冷剤の上に金属製のトレーを置いたりして、おかずを並べると効果的だ。
ランチジャーなど保温・保冷機能付きの弁当箱は、逆に食材の温度上昇を防ぐこともできる。
冷やした野菜や果物を詰めれば、部活などの軽食になる。
新型コロナで外食を避ける代わりに、飲食店の持ち帰りを利用する機会も増えている。
店の中には、好意から出来たてを提供するところも多い。
そういった場合には、持ち帰ったら、すぐに食べること。
食べない分はすぐに冷蔵庫に入れておきたい。
細菌を「やっつける」には、食材を加熱するのが基本だ。
75度で1分間が目安となる。
取り置き分を食べる際も、電子レンジなどで再加熱すると安心だ。
サバやアジ、イワシなどを生で食べた場合に起こる。
アニサキスは、2~3センチの糸状をしているので、よく見れば分かる。
防ぐには新鮮な魚を選び、内臓をきちんと取ること。
心配ならば焼き魚にするなどしっかり火を通すか、零下20度で24時間以上凍らせるとやっつけることができる。
コメント
寄生虫感染症というのもちょっと変ですが、「アニサキス」を食中毒と呼ぶことにも、ちょっと抵抗があります。
冬場は、ノロウイルスによる食中毒が増える。
生がきなどの二枚貝が知られているが、感染者の糞便から人に感染するため、手洗いの徹底も重要になる。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2021.6.20
<関連サイト>
食中毒を防ぐには