「KMバイオロジクス」 実用化を1年前倒し

ワクチン接種をためらっている人に朗報「KMバイオロジクス」が国産新型コロナワクチンの実用化を1年前倒し

https://maonline.jp/articles/kmbiologics_vaccine20210923

一般的な不活化ワクチンと同程度の安全性

明治ホールディングス傘下の製薬会社であるKMバイオロジクス(熊本市)は、開発中の新型コロナウイルス用国産ワクチンの実用化時期を当初予定の 2023年度中から2022年度中に1年前倒しする。

 

・同ワクチンは、ウイルス粒子を薬剤などで、ばらばらの状態にし、感染力や毒性をなくした不活化ワクチンで、同じタイプのインフルエンザワクチンなどで長年の使用実績があるため安全性は高いと見られる。

 

・同社では、安全性などに不安を抱いてワクチン接種を見合わせている人に対して「新たな選択肢を提供することが可能となり、国内のワクチン接種率の向上に大きく寄与できる」としている。

 

・すでに厚生労働省の支援を受けて生産体制を整備しており、2022年4月には完成する見通しという。

 

一般的な不活化ワクチンと同程度の安全性

・KMバイオロジクスは2021年3月に新型コロナワクチンの第1/2相臨床試験に着手し、9月21日に結果を公表した。

 

・それによると20歳以上65歳未満の105人と、65歳以上の高齢者105人を対象に実施した試験では、日常生活に支障をきたす重度の副反応は、発熱の1件だけで「一般的な不活化ワクチンの想定を超えるものではなかった」という。

 

・さらに、高い安全性が求められる幼児や小児、妊婦に対しても接種できるよう「安全で有効な不活化ワクチンの開発を目指す」としている。

 

・一方、発病を阻止する有効性については「一定の有効性が期待できる結果が得られた」としているものの、具体的な数字は示していない。

コメント

この有効性が一番問題のはずなのに、このことについて公表していない、ということは大きな問題点です。

中国のシノバックは、KMバイオロジクスのワクチンと同様の不活化ワクチンです。

副作用の少なさを前面に出して有効性に対しては口を紡んでいる印象があります。

開発にスピード感がない上に、先発のワクチンに有効性が劣るようでは期待感も薄れます。

 

参考

中国製ワクチンを使う国で感染拡大、必ずしもワクチンの失敗を意味しない理由

https://www.cnn.co.jp/world/35174045.html

 

中国製ワクチン、効果に疑問の声 新興国で敬遠の動きも

https://www.asahi.com/articles/ASP7S5S3FP7RUHBI035.html

接種後でも感染・死亡する人が少なくないとして、効果を疑問視する声も広がっている。中国は「効果はある」と反発。

 

中国製ワクチンに疑義…チリ、3回目接種はアストラ製で

https://www.yomiuri.co.jp/world/20210807-OYT1T50099/

・南米チリ政府は2021年8月5日、中国製薬大手「科興控股生物技術」(シノバック・バイオテック)製の新型コロナワクチンを接種した55歳以上の市民に対し、11日から英アストラゼネカ製を使って3回目の接種を行うと発表。

感染力が強いインド由来の変異ウイルス「デルタ株」の感染拡大を防ぐには、別の種類の追加接種が必要と判断した模様だ。

ウルグアイ政府も、シノバック製で2回の接種を終えた国民に対し、米ファイザー製を追加接種する方針を示している。

 

・同じ不活化タイプのインフルエンザワクチンでは、65歳以上の高齢者で34~55%の発病阻止効果が、6歳未満の小児では60%の発病阻止効果が報告されており、今回の新型コロナワクチンでも同程度の有効性が見込めそうだ。

 

・ちなみに、遺伝情報をもとに体内でウイルスのたんぱく質を作り、このたんぱく質に対する抗体が作られる、モデルナやファイザーのmRNAワクチンの発病阻止効果は94%~95%に達している。

 

・またKMバイオロジクスのほかに国産ワクチの開発に取り組んでいる主な企業は、塩野義製薬(組み換えたんぱくワクチン)、第一三共( mRNAワクチン)、アンジェス( DNAワクチン)、VLPTジャパン( mRNAワクチン)などで、不活化ワクチンタイプはKMバイオロジクスだけだ。

 

・同社では今後、最終段階の第3相臨床試験を開始する準備に入るほか、感染が広がっている変異株(デルタ株)についても、第1/2相臨床試験で採取した臨床検体を用いて薬効評価を行う計画という。