ブースター接種は違うワクチンのほうが有効? 

ブースター接種は違うワクチンのほうが有効? 注目される研究報告

新型コロナウイルスのワクチン を追加接種する「ブースター」について、最初と違う種類を打つ「交差接種」に米国で注目が集まっている。

米食品医薬品局FDA)は近く、製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンを接種した人を対象に別のワクチンの追加接種を認める可能性が高まっている。

 

米国内で交差接種への関心が高まるきっかけになったのは、米国立保健研究所(NIH)の研究者らが15日に公開した、査読を受ける前の論文(https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.10.10.21264827v2.full)。

ファイザーとモデルナ、J&Jの接種が完了した約450人を約50人ずつの9グループに分けたうえで、3種類のワクチンをブースター接種した。

ファイザー、モデルナが2回接種なのに対し、J&Jは1回接種で完了となる。

 

1回目にJ&Jを接種した人では、追加接種から15日後の感染を防ぐ抗体の量が、もう一度J&Jを打つと4・2倍だったのに比べ、ファイザーなら35・1倍、モデルナなら75・9倍になったという。

 

最初にファイザーを打った人では、もう一度ファイザーだと20倍、モデルナだと31・7倍、J&Jだと12・5倍だった。

最初にモデルナを打った人は、もう一度モデルナだと10・2倍、ファイザーだと11・5倍、J&Jだと6・2倍だった。

 

米国ではファイザーの接種を完了してから6カ月以上過ぎた高齢者らを対象に、ファイザーの3回目接種が始まっている。

FDAの諮問委はモデルナやJ&Jについても、対象を限定して同じ種類の追加接種に緊急使用許可を出すよう勧告していた。

 

交差接種を認めるかについて、FDAの幹部が「可能性はある」と発言。

米メディアはFDAが今週中にも、J&J製のワクチンについて、ファイザー製やモデルナ製の追加接種を承認すると伝えている。

 

米紙ニューヨーク・タイムズは18日、開発段階のワクチンがブースター接種向けに使われる可能性があると指摘。

とくに米バイオ企業ノババックスや仏製薬大手サノフィが開発しているようなウイルス表面のたんぱく質だけ合成した種類が有望になるかもしれないとした。

 

日本では12月にも医療従事者らへの3回目接種が始まる見込み。

厚生労働省は現在、1~2回目と同じワクチンを基本としているが、今後の研究結果や海外の実績などを踏まえて、3回目に交差接種を認めるか結論を出す考えだ。

 

J&Jのワクチンは日本では承認申請されている段階だが、ファイザーとモデルナの交差接種で免疫が高まるという米国内のデータは、日本の今後の議論にも影響を与えそうだ。

 

ブースター接種に向けて、政府は来年からファイザー製1億2千万回分、モデルナ製5千万回分の追加供給を受ける契約を結んでいる。

 

まだ承認されていないが、別のタイプのノババックス製ワクチンも1億5千万回分の供給を受ける契約も結んでいる。

 

参考・引用一部改変 

朝日新聞 2021.10.20