大腸がん、切除範囲を見極め 治療組み合わせで効果大 ①
大腸がんは部位別にみると新規患者数が最も多い。
日経新聞が実施した実力病院調査では、がん診療連携拠点病院などの間で治療成績の格差が1.6倍あった。
特に進行したがんでの格差が大きい。
治療成績が上位の病院では、進行がんも可能な限り外科手術で切除し、抗がん剤や放射線治療を組み合わせて再発を防ぐ治療に積極的に取り組んでいた。
大腸は小腸に続く肛門までの長さ1.5メートル前後の臓器で、結腸と、肛門近くの直腸に大きく分かれる。
高齢化と食習慣の欧米化で大腸がんは増加傾向にある。
2018年の新規患者数は15万人超と部位別では最も多い。
死亡数も多く、部位別では女性では最多、男性では肺、胃に次ぐ3番目となっている。
国立がん研究センターによると、がん拠点病院などで12~13年に診断を受けた患者の5年生存率は初期の1期が82.6%、2期が75.9%、3期が68.3%と他のがんに比べると高いものの、最も進行した4期では16.9%まで低下する。
大腸の内側の粘膜表面や粘膜下の浅い層にとどまっているごく初期の段階で、転移の可能性がないなら内視鏡で切除する。
がん細胞が通常のタイプであれば内視鏡だけで根治できる。
検診での早期発見が重要だ。
がんが進行して外科手術が必要になると治療成績に差が出てくる。
日本経済新聞が施設別に分析したところ、年平均100人以上の患者を治療した病院における格差は初期の1期の5年生存率で94~60%と30ポイントの差があった。
2~4期では差は約40ポイントまで広がる。
平均年齢が同じでも格差があった。
病院の治療成績を比べる際に、進行がんの患者の割合が多いと病院全体の生存率は下がってしまう。
調査では1~4期の進行度の違いを調整し、全国平均を100とする「生存率係数」で比較した。
施設別の生存率を公表している約400のがん拠点病院などのうち、12~13年に200人以上の患者を診断・治療したのは222病院だった。
生存率係数が最も高かったがん研有明病院(東京・江東)は123.6。
最低だった関東地方の病院との差は1.6倍に広がっており、病院間の最大格差は肺がん(2.1倍)に次ぐ大きさだった。
がん研有明病院は進行がんでも5年生存率が高い。
2期で93.3%、3期で85.5%、4期でも33.4%といずれも全国平均を大きく上回る。
どれだけ外科手術で切除できるかが治療成績を変える。
参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2021.10.26