大腸がん 切除範囲と治療組み合わせ ②

大腸がん、切除範囲を見極め 治療組み合わせで効果大せ ②

肛門に近い直腸は骨盤の深いところにあり、手術で周辺の神経や血管を傷つけてしまうリスクが高まる。

直腸がんは肛門に近ければ近いほど手術は難しい。

肛門を温存できるかどうかは患者の生活の質を大きく左右する。

 

2期ぐらいから抗がん剤放射線治療を組み合わせた治療が必要となる。

例えば手術前に抗がん剤放射線治療を組み合わせてがんを小さくして切除する。

一方で無理に手術すれば患者の状態を悪化させ、5年生存率は下がってしまう。

 

手術後も抗がん剤で治療できるかなど、外科以外の専門家とも検討し一人ひとりの患者に最適な治療を選ぶことが不可欠となる。

 

大腸の大部分を占める結腸は直腸に比べれば手術しやすい。

それでも、病理医と連携して適切な範囲を切除できなければ再発のリスクは高まる。

術前術後の食事など体調管理は合併症を抑えるためにも重要で、手術だけではなく病院としての総合力が問われる。

 

大腸肛門病センター高野病院(熊本市)は今回の調査で生存率係数が119.3だった。

166床の中規模病院ながら大腸がんなどを専門に診ており、がん研有明病院、愛知県がんセンター(名古屋市)に次いで大腸がんの治療成績が高かった。

高野病院の5年生存率は1期が94.1%で、全国平均より10ポイント以上も高い。

進行した2期でも94.2%を維持しており、調査対象の病院で最も高かった。

 

同病院外科部長は「1期では、病院での大腸がん検診で自覚症状のない段階の患者を多く治療できている」と説明する。

自施設での早期発見が治療成績の高さに結びついている。

 

同病院では、がんとその周辺を過不足なく切除する拡大手術をするように取り組んでいる。

治療成績の高さについて同外科部長は「進行がんでは切除が難しい直腸がんの割合が多いが、切除した部分のすぐ近くでの再発(局所再発)がほとんどないからではないか」とみる。

 

早期のがんでも切除後に再発の可能性は残る。

同病院では手術後も主治医が5年以上定期的に診察している。

再発の疑いがあればすぐに精密検査して治療につなげる。

肺や肝臓など専門外の部位に転移がある場合は、連携している熊本大学病院に患者を紹介し、切除が可能ならば切除してもらう。

 

がんの切除後、積極的に抗がん剤で治療できれば患者の延命につなげられる。術後の抗がん剤治療では経口薬だけでなく、点滴で投与するオキサリプラチンを標準治療になった早い段階で導入した。

主治医が継続的に治療するため「患者の状態に合わせて抗がん剤の量をこまめに調整できており、長期間投与することで効果を上げている」と同外科部長はいう。

 

参考・引用一部改変 

日経新聞・朝刊 2021.10.26

 

<関連サイト>

大腸がん 自覚症状あれば内視鏡検査を

https://osler.hatenadiary.org/entry/42842247

 

大腸がん 早期発見で生存率増える

https://osler.hatenadiary.org/entry/2021/01/23/071012

 

新型コロナ流行下で進行大腸がん増加

https://osler.hatenadiary.org/entry/2021/10/05/060000

 

進化続く直腸がん治療

https://osler.hatenadiary.org/entry/2021/02/25/060000