コロナワクチン「救った命は1980万人」

コロナワクチン「救った命は1980万人」英チーム推計 恩恵に格差 
新型コロナウイルスのワクチンによって、2020年12月~21年12月の1年間に、世界で1980万人の命が救われた。
そんな推計結果を、英インペリアル・カレッジ・ロンドンのチームが発表した。

新型コロナのワクチンは20年12月、米ファイザー社製のmRNAワクチンが英国で初めて使用が許可された。
その後も複数のワクチンが実用化され、製薬会社と直接契約を結ぶなどした高所得国を中心に、接種が進んだ。

チームは185カ国・地域を対象に、新型コロナの流行パターンなどを踏まえて、ワクチンがないと仮定した場合の死者数を予測。
そこから接種が進んだ影響を考慮した死者数を差し引いて算出した。
1980万人という数字は、ワクチンがない場合に推計される死者数の63%に相当するという。

ほとんどはワクチンによる直接的な効果と考えられたが、ワクチンの普及で感染者数が減少し、医療逼迫が避けられたことによる間接的な効果も少なからずあったとしている。

経済的に豊かな国・地域ほど接種率が高かったため、ワクチンによって命を救われたと推計される人数も多くなった。

高所得国(接種率約7割)ではワクチンがない場合に推計される死者数の66%が、上位の中所得国(同5割)では37%が、下位の中所得国(同3割)では22%が、低所得国(同1割未満)では3%が、それぞれワクチンによって命を救われたと推計された。
 
今回のパンデミック(世界的大流行)では、経済的にワクチン確保が難しい国には、世界保健機関(WHO)などが主導する枠組み「COVAX(コバックス)ファシリティーズ」によって供給された。
対象国での接種率を「21年末までに人口の20%」にすることが目標だったが、十分な量
のワクチンが確保できなかったことなどもあり、達成されなかった。
もし対象となる83カ国でこの目標が達成されていれば、さらに15万人以上の死亡を防げたとみられたという。
 
チームは今後、もっと公平にワクチンが分配されるためには、供給量の問題だけでなく、分配のためのインフラなども改善する必要があるとしている。
 
論文は英医学誌ランセット関連誌に掲載された。

参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2022.8.28

<コメント>
「ワクチンの普及で感染者数が減少し、医療逼迫が避けられたことによる間接的な効果も少なからずあった」という表現は、ワクチンが感染予防に有効かどうか、ということについて、どう捉えればいいのか微妙な表現です。
今回の研究は、「救命」率を知るのが目的のため、感染予防効果については一切触れられていません。
一方、感染しなければ重症化もしないわけですから、ワクチン接種者と非接種者の死亡率を単純に比較したほうがよさそうに思えます。
そもそも「新型コロナの流行パターンなどを踏まえて、ワクチンがないと仮定した場合の死者数を予測」というアプローチが不可解(理解困難)です。