切れた血管、つながる仕組み発見

切れた血管、つながる仕組み発見 治療応用に期待 日本医科大・宮崎大グループ

切れた血管が修復されるメカニズムを、日本医科大学宮崎大学の研究グループが新たに発見した。血管は上流側(心臓側)からは伸びず、下流側からだけ伸びてつながることが明らかになった。
心臓の病気やがんなどの治療に応用できる可能性があるという。

解明したのは、日本医科大学・病態解析学のグループと宮崎大学医学部・血管動態生化学の研究グループ。
 
ゼブラフィッシュという魚の血管を切断し、つながっていく過程を「蛍光イメージング」という手法を使ってリアルタイムで観察した。
すると、従来は両方向から伸びるとされていた血管が、下流側からだけ伸びた。
 
さらに「血管は圧力がかかると伸びない」ことも証明。
研究グループは「上流側には心臓が血液を送り出す圧力がかかっており、その圧力を血管が感知し、伸びなくなる仕組みもわかってきた」としている。
 
今回の発見を発展させて血管を伸ばす治療法ができれば、毛細血管が切れることで起こる褥瘡(床ずれ)や、血管の詰まりが原因となる狭心症の治療につながることが期待される。
また、「いかに血管を伸ばさないか」という視点では、がん組織での無秩序な毛細血管の異常発生を抑え、有効な治療手段になる可能性も秘めるという。
 
さまざまな疾患や疾病にかかわる血管や毛細血管の、「伸びる」メカニズムの一端がわかったことで、将来的な応用範囲も広がることが期待でき、画期的な成果だと考えられる。

参考・引用一部改変
朝日新聞・夕刊 2022.6.17