腎代替療法(透析、腎移植)
腎代替療法 (RRT) は、 末期腎不全や急性腎障害 (AKI) の患者に対し、 腎臓の機能を代替するために行われる治療法である。
主な選択肢として、 血液透析 (HD)、 腹膜透析 (PD)、 腎移植がある。
■腎代替療法の種類
腎代替療法には主に以下の3種類がある。
血液透析 (HD) 血液を体外に取り出し、 ダイアライザーと呼ばれる特殊なフィルターを通して老廃物や余分な水分を除去し、 浄化された血液を体内に戻す方法。
通常、 週に数回、 医療機関で実施される。
腹膜透析 (PD) 患者自身の腹膜をフィルターとして利用し、 透析液を腹腔内に注入・排液することで老廃物や水分を除去する方法である。
自宅で実施可能であり、 継続的携行式腹膜透析 (CAPD) や自動腹膜透析 (APD) などがある。
長期の腹膜透析では被嚢性腹膜硬化症 (EPS) を合併する可能性があり、 その場合は血液透析への移行が検討される。
腎移植 機能しなくなった腎臓の代わりに、 健康な腎臓を移植する方法である。
生体腎移植と献腎移植があり、 腎代替療法の中で最も良好なQOLと長期予後が期待される。
ロボット支援下腎移植 (RAKT) は、 開放手術と比較して手術部位感染やリンパ嚢胞のリスクが低く、 術後疼痛が少ないことが報告されている。
■急性腎障害 (AKI) における腎代替療法 集中治療室 (ICU) におけるAKI患者の5~10%でRRTが必要となる。
開始時期
難治性高カリウム血症、 重度代謝性アシドーシス、 肺水腫、 尿毒症性合併症などが緊急適応となる。 ランダム化比較試験では、 早期開始による予後改善は示されておらず、 RRTの使用率が約40%減少する可能性が示されている。
モダリティ
持続的腎代替療法 (CRRT) と間欠的血液透析 (IHD) があるが、 生命予後に差はない。
循環動態が不安定な患者にはCRRTが推奨される。
CRRTは脳圧上昇例で有利な場合がある。
抗凝固
CRRTでは、 区域クエン酸抗凝固 (RCA) が第一選択として推奨される。
RCAは全身性ヘパリンと比較してフィルター寿命を延長し、 出血合併症のリスクを低減する。
肝不全患者においても、 進行性の乳酸アシドーシスを伴わない限り、 RCAは絶対禁忌ではない。
用量
CRRTの推奨用量は20~25 mL/kg/時であり、 これ以上の高用量化は生存率の改善を示さない。
中止基準
RRT中止の基準には、 自尿量が500 mL/日以上、 または利尿薬使用下で2.4 L/日以上などが挙げられる。
■慢性腎臓病 (CKD) における腎代替療法
CKDの診断は、 腎障害の存在またはGFRが60 mL/分/1.73m²未満の状態が3ヵ月以上持続することに基づく。
末期腎不全 (CKD G5) では、 腎代替療法が必要となる
厚生労働省
導入時期 透析導入のタイミングは、 血清クレアチニン値のみでなく、 GFRの経時的変化、 体格、 年齢、 性別、 栄養状態などを総合的に判断する。
小児では、 保存的治療に抵抗性の腎不全症状や成長障害が出現した場合、 または無症候でもGFRが10 mL/分/1.73m²未満に低下した場合に透析導入が考慮される。
バスキュラーアクセス
血液透析では、 シャントなどのバスキュラーアクセス作製が重要であり、 透析開始の少なくとも1ヵ月前に行うことが望ましい。
小児では、 将来のアクセスオプションを温存するため、 カテーテルよりも内シャントが推奨される。
QOL
腹膜透析は血液透析と比較して、 患者のQOL (特に精神的側面や腎臓病の負担) が良好であるという報告がある。
腎代替療法の選択は、 患者の全身状態、 併存疾患、 生活様式、 希望などを考慮し、 多職種チームで検討することが重要である