C型肝炎がん関係遺伝子 特定
将来、肝臓がんになるおそれがあるC型肝炎の患者で、がんになりやすいかどうかに関係する遺伝子を東京大学の研究グループが特定しました。
治療法の選択や薬の開発に役立つ可能性があると期待されています。
C型肝炎ウイルスに感染して慢性肝炎を発症すると、数十年後には30%以上の患者が肝臓がんになるとされています。
東京大学医科学研究所の研究グループは、C型肝炎の患者で肝臓がんのなりやすさに違いがあるか調べるため、全国の患者に協力を求め、遺伝情報を詳しく分析しました。
その結果、免疫の働きと関連の深いMICA(ミックエー)という遺伝子で、配列に1か所異なる部分があると肝臓がんになるリスクが1.8倍高まることが分かりました。
研究グループでは、遺伝子の型が異なって免疫の働きが弱まると、がんのリスクが高くなるとみています。
C型肝炎の患者で、肝臓がんになりやすいかどうかに関係する遺伝子を特定したのは初めてだということです。
東京大学医科学研究所の松田浩一准教授は「がんのリスクに応じてそれぞれの患者の治療法を選択したり、薬の開発に役立てたりできるよう研究を進めたい」と話しています。
NHKニュース 2011.4.18
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110418/t10015377171000.html
<私的コメント>
MICAという遺伝子の型にはAA,AG,GGの3種類があり、AA型の人はGG型に比べて、肝がんのなりやすさが約2倍(1.8倍)高いという研究成果です。
この研究成果は2011.4.17付の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(電子版)に論文が発表されました。
以下は朝日新聞・夕刊 2011.4.18より引用。
C型肝炎ウイルスに感染した肝臓の細胞ではMICAが働いて、免疫細胞の一つであるNK細胞がウイルスに感染した細胞を攻撃する。
AA型ではGG型に比べてMICAの働きが落ちるため、NK細胞による攻撃が弱くなるという。