コレステロール高値はアルツハイマー病と関係――久山町研究

コレステロール値が高いと、脳内にプラーク(斑)として知られる蓄積物が生じ、アルツハイマー病リスクが高まることが、九州大学神経病理学助教佐々木健介氏らによる新しい研究で示唆された。

この知見は、コレステロール高値がアルツハイマー病を引き起こすこと、あるいはコレステロール値を低下させることでリスクが低減することを直接証明するものではない。また、コレステロール高値と、やはりアルツハイマー病患者の脳に見られる神経原線維変化(neurofibrillary tangle)との関係は認められなかった。

佐々木氏は「今回の知見はそれでも、インスリン耐性とアルツハイマー病を結びつけた以前の研究に続くものであり、コレステロール値とインスリン耐性のより良いコントロールアルツハイマー病の予防法につながる可能性がある」と述べている。
今回の研究で同氏らは、福岡県(糟屋郡)久山町に居住し、臨床検査を行った1988年時点で生存していた147人(男性76人、女性71人)の脳を調べた。

全被験者について1998〜2003年に剖検を行った。
被験者の約3分の1は生存中に認知症と診断されたが、1988年時点でその徴候はなかった。
研究の結果、コレステロール低値の被験者に比べて、コレステロール高値の被験者にはプラークがある可能性が高く、それぞれ62%、86%に認められた。
ただし、コレステロール高値の被験者において、神経原線維変化はさほど多く認められなかった。

米国では推定540万人にアルツハイマー病が認められ、この数字は高齢化に伴い2050年までに1600万人まで増加することが予測される。
アルツハイマー病には予防法も治癒させる方法もない。
研究結果は、医学誌「Neurology(神経学)」9月13日号に掲載された。

http://health.nikkei.co.jp/hsn/index.aspx?id=MMHEb1001020092011

出典 Health Day News 2011.9.12
版権 Health Day