中国、感染症対策の先端拠点を年内稼働 日本に先行

中国政府は2015年中に最も危険度が高いウイルスを扱う「高度安全実験施設(BSL4施設)」の稼働を始める。
日本ではまだ稼働していない最新の研究設備で、エボラ出血熱などの診断や治療法を開発する拠点として活用する。
今後10年でBSL4施設をさらに5カ所以上増設する計画だ。
資金や人材を先端分野に大量投入し、アジアの感染症研究をリードすることを狙う。

中国科学院などが約23億円を投じ、湖北省武漢市に新施設を建設した。
危険度を表すBSL(バイオ・セーフティー・レベル)という国際指標で最も高い「4」の病原体を扱う。
中国科学院によると、民間も使える公開型の実験施設としてはアジア初という。
建設には仏診断薬大手のビオメリューやパスツール研究所も協力し、最新技術を導入。
感染症の基礎研究から診断、ワクチン開発までを総合的に手がける。

エボラ出血熱天然痘など危険な病原体の研究が可能になる。
エボラなどが流行するアフリカには中国企業が多数進出し中国を訪れるアフリカ系の渡航者も多い。
このため中国国内への流入阻止や感染拡大に備えた対策が課題となっていた。

アジアでは台湾やシンガポールに同様の施設があるが、軍の専用設備で民間向けには原則公開していないとされる。
日本では国立感染症研究所長崎大学などが稼働を検討しているが周辺住民の反対で実現していない。

中国が感染症対策に力を入れるのは米国などに安全保障上で対抗する狙いもある。
中国は自国を「アジアの最先端拠点」に位置付けたい考え。
日本が同分野で出遅れる可能性も出てきた。

出典
日経新聞 2015.4.2

私的コメント
中国、畏るべし