特集 エボラ出血熱 ①

特集 エボラ出血熱

エボラ出血熱とは】 
エボラウイルスによる感染症で、感染して2~21日間で発熱や頭痛、のどの痛みが現れる。
下痢や肝臓・腎臓機能の異常が生じ、末期には吐血や下血をして死に至る。
1976年に旧ザイールなどで見つかった。
エボラの名は初期の患者発生地域の川の名称に由来する。
患者の血液や吐いたものなどに触れることで感染する。
空気感染はせず、症状のない人からの感染もない。
 今回は3月にギニアで患者が増え始め、リベリアシエラレオネ、ナイジェリアに拡大した。
西アフリカでの流行は今回が初めて。
WHOは8日、「国際的に懸念される公衆衛生の緊急事態」を宣言した。
人での安全性や効果が確認されていない開発段階の薬やワクチンの投与を、緊急的に条件付きで認める方針を示している。(2014年8月17日)
http://www.asahi.com/topics/word/エボラ出血熱.html

コメント①;
エボラウイルスに感染してから症状が出るまでの「潜伏期間」は通常1週間から10日程度、最長で3週間です。
感染した人が潜伏期間に検疫所を通った場合には水際で食い止めるのは難しいのが現状です。
コメント②;
被害が集中しているギニアシエラレオネリベリア3カ国政府は、この感染病との闘いで1世紀近く使われてこなかった「防疫線(cordon sanitaire)」という戦術を復活これは感染地域の周辺に防疫のための非常線を張り、誰も外に出さないようにするものです。
させました。

コメント③;
エボラ出血熱は患者の体液を介して感染します。
したがって飛沫感染のインフルエンザなどと比べてうつりにくい病気といえます。
しかし、米国の医療従事者は治療の際に防護服を着ていたにもかかわらず感染しました。
このように今夏までは「体液に触れなければ感染はない」と言われていたのが、微量のウイルスが付着するだけで感染する可能性が出てきたのです。
米国で感染拡大した場合、(アフリカと違って)米国から日本の渡航者は多いため、当然リスクが上昇します。

コメント④;
発熱や嘔吐、下痢などの患者さんは日常診療でよく遭遇します。
米国では米疾病対策センターCDC)が作成したエボラ患者用の治療ガイドラインが医師や看護師らに配布されています。

しかし、日本ではまったくそういったマニュアルは厚労省や医師会から配布されていません。
医療従事者が矢先に立たされている現状で日本の対応は遅いと言わざるを得ません。
(医療従事者が感染し、感染源にもなる危険性が大きい)

コメント⑤; 日本では、世界保健機関(WHO)が定めたウイルスの危険度「バイオセーフティーレベル」(BSL)に応じて、ウイルスを扱うことができる施設を定めています。
エボラウイルスのBSLは最高レベルのBSL-4で、国内では国立感染症研究所茨城県つくば市理化学研究所バイオリソースセンターの2カ所で取り扱うことができます。
WHOはバイオ施設を人口密集地に建ててはいけないとしています。
しかし国立感染症研究所は居住地に存在しており自然災害や事件、事故で病原体が外部に漏れる可能性があります。
住宅地に設備を設置するのは危険であり実際に検査施設周辺の住民から反対の声が上がっています。