男性の尿漏れ

男性の尿漏れ 膀胱などに病気 隠れているかも

最近、尿のきれが悪くなったと感じる男性はいないだろうか。
尿が出きらずに漏れたり、下着に尿がついてしまったりすることを甘くみてはいけない。
このような状態は、排尿障害を引き起こす膀胱や前立腺などの病気が隠れているかもしれないのだ。

尿が意に反して漏れてしまうことは、膀胱や尿道に何らかのトラブルが起きていると考えた方がいい。
尿失禁には、急に尿意を催して間に合わずに漏れてしまう「切迫性」と、せきをしたり立ち上がったりしたときに漏れる「腹圧性」がある。
腹圧性のほとんどは、尿道が短い女性で起こる。
 
切迫性は膀胱に問題があることが多い。
膀胱が本来ためられる量までたまらないうちに、尿を出そうと収縮してしまう。
若い人の場合は、生まれつきの脊椎の病気が関係していることがある。
 
排尿後にちょろちょろ漏れるのは「排尿後尿滴下」。
尿道を取り囲む筋肉の収縮が関係していると考えられる。
若いときは収縮する力があるが、加齢とともに力がなくなり、尿道に残った尿がもれてしまう。
 
尿道にたまっている尿を出し切るには、排尿の後、陰のうと肛門の間にある会陰部と呼ばれる場所を指で押すことが有効だ。
 
ペニスをよくふると、尿道に尿がどれくらい残っているかが分かり、自分の状態を知ることができる。

   ⬜︎  ⬜︎  ⬜︎
 
膀胱の収縮する力が落ちるか、膀胱の出口付近に問題があると、尿が出にくくなる。
尿をうまく出せないにもかかわらず、意に反して尿が膀胱から少しずつ出てしまうこともある。
これは前立腺が肥大し、尿道を狭くしてしまっていることなどが原因だ。
前立腺が肥大するのは、加齢や高血圧、喫煙などとの関連が指摘されている。
  
尿道が狭くなるのは、周りにある前立腺が肥大することで狭められるタイプのほかに、前立腺がある部分の筋肉が何らかの原因で緊張したままになり締まった状態になっているタイプがある。
前者の治療は、前立腺を小さくする薬を使うことや手術がある。
後者は、筋肉をゆるめる「アルファブロッカー」という薬が有効だ。

   ⬜︎  ⬜︎  ⬜︎
 
尿が出にくい状態が続くと、膀胱が尿を出す感覚が乱れ、尿が出やすくなってしまうおそれがある。
尿が出にくいことに加え、骨盤底部や陰部の痛みが出ていることもある。
これは、間質性膀胱炎や慢性前立腺炎などの炎症が起きていることが考えられる。
  
排尿のトラブルは、他の病気が隠れていることが多い。
超音波検査で膀胱周りの筋肉を調べたりするなど、原因を突き止めることが大切だ。


排尿のトラブル、起きていませんか?
① 排尿回数が多い
② 尿が漏れる
③ 尿を急にしたくなる
④ おなかに力を入れないと尿が出にくい
⑤ 排尿が途中で止まる
⑥ 排尿の勢いが弱い
⑦ 残尿感がある
⑧ 排尿後に尿が漏れる
⑨ 骨盤底部や陰部の痛みがある

① ~ ③は膀胱で尿をためる機能、④ ~ ⑥は尿を出す機能、⑦ ⑧は尿を出し切る機能に問題があるかもしれない。
① ~ ③は過活動膀胱の可能性がある。
前立腺肥大症は、④ ~ ⑤が主たる症状だが、① ~ ⑨までのすべて当てはまることもある多彩な病態だ。
また、進行すると尿が全く出ない状況にもなる。
① ~ ⑧のいずれかがあり、 ⑨の症状がある場合は、間質性膀胱炎や慢性前立腺炎などの疑いもある。
前立腺肥大症の症状を軽くするには、軽い体操や散歩など適度な運動を継続する、過剰な水分摂取を控える、長時間すわった姿勢をとらないことなどが有効だ。


参考・引用
朝日新聞・夕刊 2014.5.26