花粉の防除 朝一番がカギ

花粉の防除 朝一番がカギ  掃除と洗濯で春の変調予防

「花粉飛んでるね」「目がつらいよ」。
そんなあいさつが交わされる季節がやってきた。

――花粉症で悩む人が昔より増えた気がします
春になると原因不明の体調不良を訴える人は以前からいたが、花粉によるものだと広く認知され始めたのは2000年ごろだ。
初めて部屋干し洗剤が発売されたのは01年。
生活上の理由で外干しをしたくない人向けだったが、洗濯物に花粉がつくのを防ぐニーズが年々大きくなって来た。
日本の花粉症の8割は2~4月に起こるスギ花粉症だが、夏のカモガヤや秋のブタクサなど花粉症を引き起こす植物は他にもある。
大気汚染などで人の粘膜は過敏になっているとも言われ、今や年間を通した問題になっている。

飛散ピーク意識
――花粉は目に見えないので厄介です
マスクで体内への取り込みを抑えても、花粉は服に付着したり、換気で部屋に入ってきたりする。
花粉の動きを想像して家事を工夫してはどうだろう。

――具体的には
掃除や洗濯は朝早い時間をうまく使うと効果的だ。
スギの花粉は約0.03ミリメートルと非常に小さく、人が動いて空気の流れが起きるだけでも舞い上がってしまい、花粉が床に降りてくるまでに約1時間かかる。
帰宅して服を脱いだ直後や、子どもがバタバタと動いている夜は効率的とは言えない。
静かな朝に床のふき掃除から始めるのがおすすめだ。
花粉の飛散量は時間によって変化する。
都市部では午前11時~午後2時と午後5~7時がピークとの調査結果がある。
洗濯物の生乾きやにおいを防ぐため外干しをするときは、夜から早朝のうちに干そう。
花粉はぬれた洗濯物に付着しやすいため、飛散のピーク時間にはある程度乾いているのが理想だ。
部屋の換気も同様にピーク時間を外したほうがいい。

トイレ・玄関・・・
――朝は時間が限られていて難しい人もいます
「毎日こまめ掃除」と「週末しっかり掃除」を使い分けよう。
こまめに心がけていた場所は、花粉やほこりがたまりやすい玄関やトイレだ。
特にトイレは一見汚れていなくても服の上げ下げで床に花粉がたまりやすく、盲点だ。
ぞうきんがけが面倒ならばトイレットペーパーを60センチメートルくらいに切り、トイレ用ふき取りクリーナーを数回スプレーしてさっとふき取るのもおすすめだ。
時間に余裕がある時には掃除機のかけ方を意識しよう。
花粉が引っかかりやすいフローリングの溝、畳の目に沿ってゆっくり丁寧に。
カーペットや布製のソファは掃除機ヘッドを密着させることで、繊維にからまった花粉を吸い取ることができる。

――外出時にできることはありますか
外出前に服に花粉を付着しにくくする静電気スプレーをかけると、効果がある。
かばんと服がこすれる部分やベルト回りで静電気が発生しやすいことがわかっている。
最近の建物は気密性も高くて花粉を逃がしにくい構造になっている。
建物に入る前に服についた花粉を手で落とすなどの対策は周囲への気配りにもなる。
ひとりひとりができることを心がけように。

日経新聞・夕刊 2015.2.18

<関連サイト>
家に入り込む花粉 どう防ぐ
https://wordpress.com/post/aobazuku.wordpress.com/189