男性の前立腺肥大

男性の前立腺肥大

男性は年を取ると前立腺が肥大し、尿トラブルの元になる
年齢を重ねると、頻尿や尿失禁などの尿のトラブルに悩まされる人が増えてくる。
乗り物に長く乗ることが不安だったり、夜中に頻繁にトイレに起きることで同室者に気兼ねする、といった理由で旅行に行けないという人も多い。
恥ずかしいという気持ちが強く、医療機関を受診できずに1人で悩みを抱え込んでいる人も少なくない。
男性の場合は、尿トラブルが出てくるのは60代以上が中心となる。
漏らしてしまうことは少ないものの、頻尿になったり、出にくくなったりする。
その大きな原因は、加齢と共に起こってくる前立腺の肥大だ。
前立腺クルミほどの大きさで、膀胱のすぐ下に尿道を取り囲む形でついている男性特有の器官。そこから分泌される前立腺液は、精液を作るためにも必要ですが、殺菌作用が強く、大切な睾丸を雑菌から守る役割もあります。
■60代の60%、80代なら90%の人に前立腺の肥大が見られる
この前立腺は、年を重ねるとともに大きくなってくる。
すべての男性でもれなく大きくなるわけではないが、50代の30%、60代の60%、80代になると実に90%の人に前立腺の肥大が見られる。
その結果、大きくなった前立腺が、内側に位置する尿道を圧迫。
尿が出るのに時間がかかる、尿の勢いが弱くなる、膀胱が刺激されて頻尿になる、膀胱に尿が残る(残尿)といった症状に悩まされるようになる。

【男性の前立腺肥大に伴う尿のトラブル】
●頻尿になる(昼夜問わず頻繁にトイレに行きたい、起床から就寝までに8回以上排尿している)
●突然の尿意に襲われる(実際に漏らすことは少ない)
●残尿感がある、排尿後に「ちょい漏れ」がある
●尿の出が悪くなる(勢いが弱い、時間がかかる、途切れる)

そもそも、なぜ年を取ると前立腺が大きくなるのだろうか? 
実は、その詳しいメカニズムは今なお解明されていない。
しかし、男性ホルモンが関係していることは分かっている。
主要な男性ホルモンであるテストステロンは、5αリダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)という男性ホルモンに変わり、これによって男性型脱毛症が起こる。
前立腺も同じく、DHTの作用で肥大すると考えられている。
直接の原因はDHTなので、単純にテストステロンの分泌量が問題になるわけではないが、テストステロンがなければDHTもできない。
そのため、テストステロンを分泌する睾丸を失った男性は髪も抜けないし、前立腺の肥大も起こさない。

参考・引用一部改変
日経Gooday 2019.4.1