飛蚊症

【体の悩み 聞いて効く】より
淀川キリスト教病院眼科の張野正誉部長による飛蚊症の解説です。


質問
数カ月前から、目の前を糸くずのようなものが飛んでいるように見え、気になって仕方ありません。
飛蚊(ひぶん)症でしょうか? 
年をとってからなる病気だと思っていたので、心配です。
近眼でコンタクトをつけていますが、その関係もあるのでしょうか。(34歳女性)


回答
加齢や近視が原因なら「気にしない」
これはお気づきのように飛蚊症で、その名の通り、蚊が飛んでいるように見えます。
発症する理由を説明しますと、眼球はフィルムカメラと同じような構造になっており、レンズにあたる水晶体とフィルムにあたる網膜があります。
その両者の間、すなわちカメラの中の暗箱に相当する部位には、硝子体(しょうしたい)というゼリー状の物が詰まっています。
この中に細かい濁りが出てきて、それを自分の網膜が感じてしまうことで起きます。
 
加齢や近視が原因の時は放置しても問題はありません。
まれですが、網膜に孔が開いて飛蚊症を生じた時や、出血が硝子体に広がった時は、フィルムが眼の壁からはずれる網膜剥離(はくり)が起こっている可能性があります。
この場合は急いで手術をしなければ失明する恐れがあるので、飛蚊症に気がついた方は眼科医に一度見てもらうことが大事です。

重大な眼の病気がないことが分かれば、あとは飛蚊症を気にしないようにすることです。
背景が白い紙や青空の時はよく見えてしまうようで、どうしても気になって仕方がなく、ノイローゼになるという方には、最後の手段として硝子体をとってしまう手術があります。
しかし、手術だと感染や出血、合併症による網膜剥離で視力がかえって下がることがありますので、安易にお勧めできません。
私自身にも飛蚊症があり、10匹ほど眼の前でうろうろしていますが、気にしないようにしています。
http://sankei.jp.msn.com/life/body/080116/bdy0801160807000-n1.htm
出典 産経ニュース 2008.1.16
版権 産経新聞