がん破壊ウイルス臨床へ 岡山大が承認

放射線治療と併用
岡山大の遺伝子治療臨床研究審査委員会は12日、藤原俊義教授(消化器・腫瘍外科学)らが申請していた、がん細胞だけを標的にして破壊するウイルスの投与と、放射線治療を併用する臨床研究の実施を承認した。
今後、厚生労働省に申請する。

藤原教授らは、風邪を起こすアデノウイルスに増殖にかかわる遺伝子の一部を組み込み、がん細胞に感染した時だけ増殖の“スイッチ”が入るように改良。ウイルスは大量に増殖し、細胞死を起こしてがんを破壊する。

臨床研究では、ウイルス投与と並行して放射線治療をした際の効果や安全性を探る。
人間の細胞や動物を使った実験では、併用すると、放射線ががんを殺す働きが強まったという。

高齢で手術や抗がん剤治療が難しい、食道がんや肺がんなどの患者12人を対象にする予定。

藤原教授によると共同研究を行うベンチャー企業が2006〜08年、ウイルスを投与する臨床試験を米国で実施。
一過性の副作用として高熱が出るが安全性に問題はなく、治療に一定の効果が確認されたとしている。

出典 中日新聞・夕刊 2010.7.13
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