インフル「狙い撃ち」抗体を発見

インフル「狙い撃ち」抗体を発見 藤田保健衛生大など
毎年のように流行するインフルエンザで、ウイルスの変異しない箇所を見抜いて「狙い撃ち」する抗体を、藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)などの研究グループが発見した。
25日付の米医学誌ジャーナル・オブ・バイロロジー電子版に発表した。

インフルエンザは、体内に侵入したウイルスの表面にある突起(HA)が人間の細胞にくっついて増殖する。
突起は棒の先に球がついたマッチ棒のような形で、抗体は突起にとりついてウイルスを撃退する。

だが、人間のほか、豚や鳥にも感染するA型インフルの突起は変異しやすいため、過去の感染で作られた抗体ではうまく撃退できないと考えられていた。

藤田保健衛生大の黒沢良和学長(免疫遺伝学)らは、世代の違う男性3人の血液から様々な抗体を採取。
1968〜2004年に流行したウイルス(H3N2)12種の突起と抗体との反応を調べた。

その結果、30代男性から得られた抗体の一つは、12種全てを撃退する働きがあることを発見。
突起が人間の細胞にくっつく際に接点となる球の「穴」の部分めがけて攻撃しているらしいことがわかった。

この穴はウイルスの他の部分が変異しても構造は変わらないと見られ、同様の抗体を人工的に作ることができれば治療に応用できるという。
黒沢学長は「新型インフルにつながるH5N1型にも同じ『穴』がある可能性が高い。今後、構造を詳しく調べたい」と話している。(高山裕喜)

出典 asahi.com 2011.8.25
版権 朝日新聞社