老化防げる?血中の老化物質

老化防げる?血中の老化物質発見、阪大グループ
加齢に伴い、高齢者に発症する様々な病気にかかわる老化物質を、大阪大の小室一成教授(循環器内科)らのグループがマウスの血中で発見した。

この物質の働きを抑える薬が見つかれば、元気に暮らせる「健康寿命」が延びる可能性があるという。
9日の米科学誌セルで発表する。

マウスを使った海外の実験から、血中に何らかの老化物質があることは知られていた。小室教授らは、高齢者に多い心不全を人工的に発症させたマウスの血液成分を解析。
健康なマウスと比べて多くなった物質を探したところ、老化と密接に関係し、炎症を起こす免疫系のたんぱく質「C1q」を突き止めた。

若いマウスのふくらはぎを傷つけ、C1qを投与した結果、骨格筋の再生能力が低下した。
一方、遺伝子操作でC1qを作れなくしたマウスは、高齢になっても再生能力が衰えず、糖尿病や動脈硬化になりにくいことも確かめた。

小室教授は「C1qの老化に関係する働きだけを抑える薬を見つけ、さらに、C1qとどんな病気が関係しているかも探りたい」としている。

出典 読売新聞 2012.6.9
版権 読売新聞社

<追加記事>
■実験の結果、高齢マウスや心不全のマウスの血液中で増加し、細胞で起きる「Wntシグナル」と呼ばれる現象を活性化していることが分かった。
■このシグナルの過不足が、がんや骨粗しょう症心不全など多くの病気の発症に関与することは以前から知られていた。
C1qによるシグナルの活性化を抑制すれば、老化の防止や、老化に伴う多くの病気を予防できる可能性がある。
■適度なシグナルは体の維持に重要な働きをしており、小室教授は「C1qによるWntシグナルの活性化だけを抑える薬を開発するのが理想」と話している。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012060900041
時事ドットコム 2012/06/09-04:32