目の不調 放置しないで
目のかすみや物の見えづらさに日常的に悩む人は多い。
放置すると、頭痛や肩こりなどを招き、認知機能に影響が出るおそれもある
検査やメガネ使用など、適切な対策を講じる必要がある。
老眼・眼精疲労 心身の不調招く
早期の受診・定期検査を / 生活にあった適切なメガネ選び
目のかすみやピントの合いにくさが、心身の不調につながることがある。
目にストレスがかかることで、自律神経のバランスが乱れるためだ。
強い頭痛や肩こり、吐き気が出るほか、内臓や精神面に支障をきたすこともある。
高齢者の場合は認知機能の低下を招くこともある。
人の顔が見えにくいと、話すのがおっくうになる。
会話が少なくなると脳への刺激が減り、意欲や活動性が低下しやすくなる。日常生活の質を保つためにも、目の不調を早めに解消しよう。
中高年の見えづらさの原因の筆頭は老眼。
加齢に伴って目の水晶体が弾力性を失い、近くにピントが合いにくくなる。近視の人だと、メガネをかけた状態で近くのものがぼやけるようになる。
30代から始まるが、自覚するのは44~45歳前後が多い。
中高年から増える目の病気もいくつかある。
白内障は水晶体が白く濁って視力が落ちる病気で、60代の約8割が発症する。緑内障は日本人の失明原因のトップで、眼圧が高くなることによる視神経の障害で、視野が欠けてくる。
加齢黄斑変性症は、網膜の中心にある黄斑という部位が加齢によって傷み、ものがゆがんだり、小さく見えたりする病気。
40歳を過ぎたらかかりつけの眼科医を持ち、定期的に受診したい。
眼科では視力検査や眼底検査、眼圧測定などを受けて、目の病気がないかどうかを調べる。
病気の兆しがあれば、すぐに治療を始めたほうがよい。
原因が老眼の場合は、できるだけ早く自分に合った老眼用メガネを作る。
水晶体が硬くなるのを防ぐ方法はなく、自然な老化現象なので、あらがってもムダ。
我慢すれば、目の疲れが増すだけだ。
老眼用メガネを選ぶ際は、ライフスタイルを意識しよう。
近視などでもともとメガネを使っている人は、1枚のレンズで遠くと近くを見る「遠近両用メガネ」が便利だ。
ただし遠くが見え過ぎるメガネだと、手元の作業で目に負担がかかりやすくなる。
家事やデスクワークが中心の生活で、1.0以上の視力はあまり必要ない。
30センチ~2メートルの範囲が快適に見える「近近メガネ」を併用しよう。
乱視がなければ、遠近両用のマルチフォーカル(多焦点)コンタクトレンズも選択肢になる。
メガネに比べてピントはやや甘いが、遠近とも正面で見えるので、手元を見るとき視線を下にずらさずに済む。
老眼は50代までどんどん進行する。
数年おきに検査して、見え方にあったメガネに替えよう。
眼科受診時に、必要に応じてレンズの処方箋を出してもらうとよい。
一方で、白内障の手術を機に老眼を治療する道もある。
水晶体の代わりに移植する眼内レンズで、老眼は治る。
近くを見やすくする単焦点レンズは保険適用になるので、多くの人に薦められる。
遠近両用メガネと同様の多焦点レンズ(2焦点・3焦点、保険適用外)や、乱視用のトーリックレンズもある。
目の酷使でも見えづらさは起きる。
スマホの画面を長時間見るのを控え、蒸しタオルなどで目を温めると症状が和らぐ。
一時的な不調でも侮らずに対処し、日ごろから見え方に気を配って全身の健康を保ちたい。
参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2018.9.29
<関連サイト>
みえづらさが起きるしくみは