Hibワクチンについて

昨年の暮にHibワクチン厚労省で認可されました。
しばらくは、このワクチンの流通は不自由で月に1回しか医療機関に入ら
ないようです。
したがって当面は小児科専門の医療機関で普及しそうです。
以下は、このワクチンのお話です。

恐ろしい細菌性髄膜炎を予防するHibワクチン接種

ヘモフィルス属インフルエンザb型菌(Haemophilus influenzae type b、
略してヒブ/Hib)は、上気道(のど)に常在するグラム陰性桿菌であり、
普段からいる細菌です。
このヒブが血液や肺の中に侵入すると、細菌性髄膜炎や敗血症・急性喉頭
蓋炎・肺炎などの重い病気を、主として6歳以下の乳幼児にひき起こします。

1998年にWHO(世界保健機関)が乳児への定期接種を推奨する声明を出
しました。
1987年に開発されたHibワクチンは、米国などの海外では、早くから使用
され、その結果Hibによる深刻な病気は100分の1程度に激減しました。
よほど医療が遅れている地域を除いて、現在100か国以上とほとんどの
国で当然のように受けらる予防接種です。
そのため世界的にみてもHib感染症はむしろまれな疾患となっています。

日本でもやっとHibワクチンが認められ(商品名:アクトヒブ)、2008年
12月19日から接種ができるようになりました。
日本の常識は世界の非常識の典型例です。
官僚主導の許認可制医療の弊害の一例とも言えます。

さて、まずはこの細菌性髄膜炎についてお話しします。
初期症状は、風邪などの感染症と区別がつけにくく、簡単な検査では診断
できにくい病気です。
とくに特に3歳以下のお子さんなどでは本人が症状を訴えないので診断が
難しくなります。
菌が髄膜に感染し、発病24時間程度で発熱やけいれん、呼吸困難などが
出現し、幼児で感染すると約5%が死亡、約30%に後遺症(難聴、発達
延滞、けいれんなど)が残るといわれています。

今までHib(ヒブ)ワクチンの使用が認められていなかった日本では、
年間600人もの子どもがHibによる髄膜炎にかかっていると推定されて
います。


具体的には生後3ヶ月になったら、接種を受けます。
回数は1ヶ月間隔で3回(三種混合ワクチンDPTと同時接種が可能、左右
別々の腕)、その1年後に1回の計4回です。

心配なのは副反応ですが、ワクチンを受けた時に微熱、接種した部位の
発赤、腫腫などが現れる場合があります。
しかし、通常2-3日で収まります。
 

<追加>
インフルエンザ菌は19世紀末、欧州でインフルエンザが大流行した際、
患者の痰などから発見されたことから、インフルエンザウイルスの発見
(1933年)までインフルエンザの原因菌と考えられていました。
インフルエンザという名前がつくために現在でも両者が混同されている
ことがあるようですが、インフルエンザウイルスとは全く別のものです。
名前を変えていただくといいのですが。
■薬が効かない耐性菌も増えています。
■わが国では5歳未満人口10万人あたり年間約8.8人、約500~600人
ほどの小児が毎年、Hib感染を中心とする髄膜炎に罹患していることが
確認され、Hibワクチンの重要性の根拠となりました。
■他の多くの細菌のウイルスとは異なり、Hibは乳幼児に感染しても抗体
(免疫)ができず、繰り返し感染することがあります。
■5歳未満の乳幼児がかかりやすく、特に生後3か月から2歳になるまでは
かかりやすいので、注意が必要です。
■国内の細菌性髄膜炎の60%以上はHibが原因です。
原因の25%を占める肺炎球菌にも乳幼児用のワクチンがあり、
84か国で使われている。
インフルエンザ菌b型(Hib)以外で細菌性髄膜炎の原因になる主な
細菌としては、新生児では大腸菌とB群溶連菌、乳児期以降では肺炎
球菌があげられます。
■現時点では、公費負担のワクチンとして認可されておらず、任意接種
として接種を受けなければなりません。
自費で1回7~8,000円前後の見込みです。
4回で30,000円前後かかってしまいますが、4回接種すれば、まずは
この病気にはかからなくなります。
今後、保険適用される予防接種になる可能性があります。
■接種スケジュールは初回の接種を始めた年齢により異なり、年齢が
大きくなるにつれて、接種回数が合計3回、合計1回と減ります。
 2ヶ月~7ヶ月未満で開始・・・3回+1回(1年後)の合計4回
 7ヶ月~ 1歳未満で開始・・・2回+1回(1年後)の合計3回
 1歳以上で開始・・・・・・・・1回のみ 

<関連サイト>
ヒブ(Hib)ワクチンについて
http://www.takedakodomo.com/Hib-vaccine.htm
細菌性髄膜炎 Hibワクチン認可
http://qnet.nishinippon.co.jp/medical/news/kyushu/post_241.shtml
ワクチン格差 WHO推奨も…日本では定期接種なし
http://sankei.jp.msn.com/life/body/080130/bdy0801300806000-n1.htm
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<自遊時間>
20歳息子の替え玉ばれた 54歳父が不正受験
○○県は13日、県が実施した医薬品販売の資格を与える「登録販売者」
試験で、○○市の配置薬販売業の男性(54)が、息子(20)を装って
不正に受験していたと発表。
県は受験を無効とし、男性を有印私文書偽造の疑いで県警に刑事告発
する。
事前提出していた息子の顔写真と比べ「年齢が高く見えた」(県薬務課)
ため、試験中に替え玉が発覚。
男性は「息子に資格を取らせたかった」と話しているという。
http://www.excite.co.jp/News/society/20090113/Kyodo_OT_CO2009011301000639.html
<コメント>
いくら若造りをしても54歳を20歳は無理と思われます。
写真を見たいものです。
以前から、双子の替え玉受験は可能ではと思っていましたが・・・。
「有印私文書偽造」で刑事告発
結構恐ろしい罪になりそうです。

築地市場>トラフグ2匹紛失 注意呼び掛け
都によると、○○水産は10日夕、注文先からの連絡で紛失に気づいた。
トラフグ2匹のほか、白子、内臓などを取り除いた身欠(みがき)フグ
1匹分が入っていた。
誤って調理された場合は危険なため、都は認証を受けたふぐ料理店以外で
トラフグを食べないよう呼びかけ、医療関係者にもフグ中毒患者が出た
場合は通報するよう注意喚起した。
トラフグの肝臓や卵巣などには青酸カリの1000倍以上といわれる
猛毒が含まれている。
<コメント>
青酸カリ紛失と同じ扱いになるとは知りませんでした。

読んでいただいて有難うございます。
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