難解で誤解が多い「病院の言葉」

「せん妄」「寛解」など、医療用語には難解な言葉が数多くあります。
医療側にとっても、説明しろといわれてもうまく説明できなかったり、逆にどうして
こんな言葉が伝わらないんだろうかという場合もあります。

難解で誤解が多い「病院の言葉」 分かりやすく言い換えます

「命にかかわる内容にも関わらず、医師と患者で意思疎通ができていない」と、独立行政
法人・国立国語研究所(東京)が、難解だったり誤解が多い医療用語を分かりやすく
しようと、言い換えに取り組んでいる。
医師への調査で、特に患者に理解されていないとみられる50~100語程度をピック
アップ、どのように分かりにくいのか分析し、言い換えたり、説明する方法を検討して
いる。
来年(2009年)春ごろに結果を公表し、全国の医療現場にも用語解説の手引を配布
する計画だ。
 
〈ケース1〉
「合併症」(ひとつの病気に関連して起こる新しい病気や病症)がでる可能性があると
患者家族に説明したら「手術失敗ですか」と聞かれた。
〈ケース2〉
「頓服」(症状が出たときに必要に応じて服用する)の意味が理解されず、1日3回
定期的に内服していた。
〈ケース3〉
患者らに「ホスピス」(終末期ケア・緩和ケアを行う施設または在宅ケア)をすすめた
ところ悲観的な態度で強く拒絶された。
〈ケース4〉
「五十肩」(中高年にみられる肩関節周囲炎)と説明したら「60歳には治るんですね」
と聞き返された。
 
研究所が医師に調査したところ、医療用語に関する医師と患者との間の言葉の問題には、
事例のように言葉の難解さや誤解、言葉のイメージなどの類型に分かれるという。
研究所が昨年実施した医師への調査で、「意味が通じなかった言葉」で最も多かったのが
「予後」。
残された生存期間などを示す言葉だが、ほとんど通じないという。
「経過観察」も「何もしない」と誤解され、患者からクレームを受けたと回答する医師
もいた。
 
一方、患者側の調査でも8割以上が「医師に分かりやすく言い換えたり、説明を加えて
ほしい」と回答している。
 
研究所の田中牧郎言語問題グループ長は「病院で使用される言葉は、患者にとっての
分かりやすさや、誤解を招かない明確さということに配慮されておらず難解。
言葉をイメージでとらえ、意味をきちんと理解していない患者も多く、医師もどう言い
換えればよいか悩んでいる。
手引が医師と患者のコミュニケーションの手助けとなれば」と話している。

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<参考および引用サイト>
難解で誤解が多い「病院の言葉」 分かりやすく言い換えます
http://sankei.jp.msn.com/life/body/080529/bdy0805292239003-n1.htm
(産経ニュース 2008.5.29 )

<コメント>
司法の言葉はさらに難解です。
永田町や霞ヶ関の言葉はわざとわかりにくくされています。
景気短観の表現は思わず笑ってしまいます。


<番外編>
タミフルと異常行動「因果関係否定できぬ」…厚労省研究班
インフルエンザ治療薬タミフルを服薬した10歳以上の子どもは、服薬しなかった
子どもに比べ、飛び降りなどの深刻な異常行動をとるリスクが1・54倍高い
という分析結果が(2009年4月)18日、厚生労働省研究班(班長=広田良夫・
大阪市大教授)の最終報告書で明らかになった。

タミフルとの因果関係は否定できず、深刻な異常行動に絞った新たな研究を実施
すべきだ」と指摘しており、現在は原則中止している10歳代への使用再開は難しく
なってきた。

最終報告書は近く、厚労省薬事・食品衛生審議会安全対策調査会に報告される。
別の検証作業では、「関連は見つからなかった」とする結論が出されており、
同調査会では10歳代への使用をいつ再開するかが最大の焦点だった。

研究は、2006年度からインフルエンザと診断された18歳未満の患者約1万人を
集め、解析した。
このうち、急に走り出すなどして死亡やけがに結びついた深刻な異常行動に限定して
調べたところ、服薬した場合、リスクが1・25倍高くなった。特に注意喚起の対象
となっている10歳以上の場合、リスクは1・54倍になった。

一方、うわごとを言うなど軽症のものも含めた異常行動を起こす全体のリスクは、
飲まなかった場合に比べて0・62倍と低かった。
出典  読売新聞 2009.4.19
版権 読売新聞社

<コメント>
10代に本当に後発するのか、その他の年齢はどうなのかということがどうも見えて
きません。
10代へのタミフル投与で「深刻な症状」が増え「軽症な症状」が減る。
この当たりの解釈も出来ないため、「深刻な異常行動に絞った新たな研究を実施
すべきだ」という結論になったようです。
これも何だかすっきりしません。

私達医療機関は10代にはリレンザを投与しているのが現状です。
興味もタミフルではなくリレンザにあります。
リレンザの調査も行われているのでしょうか。