インフルエンザと肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌ワクチンについては最近

肺炎球菌ワクチン、再接種可能に
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/archive/2009/10/19

としてとりあげました。

きょうはインフルエンザとこのワクチンとの関係についての話題です。


新型インフルエンザが発症した場合、高齢者にとって怖いのは肺炎を併発することです。
それに対応して、「肺炎球菌ワクチン」があるのはご存知でしょうか。
日常生活における肺炎の原因菌は肺炎球菌が約40%を占めるといわれています。
この肺炎球菌ワクチとは、肺炎球菌によって引き起こされるさまざまな病気を予防するワクチンです。
肺炎球菌ワクチンを接種すると、肺炎球菌による肺炎の7~8割程度を予防することが出来ると言われています。
一度接種すると、その効果は5年ほど続きます。
米国では、65歳未満で接種したのち、65歳以上になり、前回の接種から5年以上経過した場合は、2度目の再接種を推奨しています。
世界保健機構(WHO)でも、高齢者の肺炎球菌ワクチン接種を勧めています。
米国ではこのワクチンは十分に普及しており、すでに65歳以上の半数が接種しているとのことです。
日本がワクチン後進国といわれるのも無理がありません。

ワクチン接種の安全性は、インフルエンザワクチン接種と同様と考えられています。
皮下注射部位に、局所的に腫脹や疼痛を起こすことがありますが、数日で軽快します。

新型インフルエンザの重症化を防ぐために、高齢者や心臓、呼吸器に慢性疾患のある方、糖尿病、腎不全や肝機能障害のある方等は、肺炎球菌ワクチンの接種が勧められます。
一般的にも高齢者の死因としての肺炎は大きな割合を占めています。
そのため新型インフルエンザへの感染とは関係なく、その接種効果は一定の意味があります。

季節型インフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンを両方接種することでより高い肺炎予防効果が得られます。
両方のワクチンを接種した方は、入院のリスクを63%軽減し、死亡リスクを81%軽減したというデータさえあります。

インフルエンザ感染症は、多くは一過性で軽快して行 きますが、中には不幸な転帰をとる場合があります。
新型インフルエンザでは、若年者が重篤化する要因は、サイトカインストームという免疫制御の崩壊による、急性脳炎やウイルス肺炎や多臓器不全で数日の間に急速に進行します。
残念ながらこんな症例には、有効な治療法は確立されていません。

一方、高齢者が増悪する要因は、主として二次感染として起こる細菌性肺炎です。

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出典 朝日新聞・朝刊 2009.10.20
版権 朝日新聞社


<関連サイト>
怖いぞ肺炎!
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http://www.haienyobo.com/


肺炎球菌ワクチン利用を 高齢者の肺炎予防に効果
http://www.47news.jp/feature/medical/news/1104haien.html


<番外編>
新型インフルエンザ:予防接種開始 医療現場に安心感 予約制、保険証提示も
新型インフルエンザの本格的な流行に備え、19日、医療従事者へのワクチン接種が始まった。
日常的に感染の危険性にさらされている関係者からは「これで安心できる」と歓迎の声が上がった。
ワクチンは製造分から順次供給され、11月以降、重症化の危険性が高い人から順に接種が受けられるようになる。
どの程度の効果と副作用が見込まれるのか、接種の手続きは……。
大流行の恐れが指摘される中、関心が集まる。

医療従事者以外への接種は、11月から始まる。
時期の目安は厚生労働省が示すが、流通の時間などを勘案して具体的な日程は都道府県が決めることになっており、自治体のホームページなどで公開される。

接種を受ける場所について厚労省は、かかりつけの医療機関が望ましいとしている。
基礎疾患(持病)がある場合、それが優先接種対象になるかどうかを判断してもらえるからだ。
予約制で、16歳未満は保護者同伴が原則。予防接種は保険診療ではないが、年齢確認などで保険証の提示を求められることもある。

かかりつけ医がワクチン接種をしていなかったり、かかりつけの医療機関がない人は、市町村に照会して接種できる医療機関を調べることになる。
勤務先の近くなど、居住地と異なる地域の医療機関を選んでもいい。
接種対象者であることを示すため、妊婦は母子手帳、持病がある人は、かかりつけ医に発行してもらう証明書が必要。

◇重症化防ぐ効果期待 「季節性」同時接種で負担減
医療従事者を対象に、新型インフルエンザのワクチン接種が始まった。
ワクチンは、感染自体を防ぐことはできないが、感染後の重症化を防ぐ効果が期待される。
一方、厚生労働省は副作用の発生状況を監視するため、医療機関から国に直接報告する制度を設ける方針だ。

厚労省によると、後遺症が残る重い副作用は、毎年流行する季節性のインフルエンザワクチンでは100万人に1人に起きるとされる。
新型の国産ワクチンについて、厚労省は今月、46%に副作用があったとする治験結果を公表した。
大半は注射した場所が腫れるなど軽いものだったが、治験対象者200人のうち急なアレルギーショックと全身の発疹(はっしん)が各1例あったという。

専門家は新型、季節性の2ワクチンの同時接種も、医療機関や接種対象者の負担を減らすことができるとして勧めている。
一方、高齢者は新型、季節性を問わずインフルエンザウイルスに感染すると、免疫力の低下で肺炎球菌による肺炎を発症しやすい。
このため、肺炎球菌ワクチンの接種も勧めている。