あなたの10年後の死亡確率は?

危険因子を基に算出 健康度評価し、生活改善を

現在の生活を続けていると、あとどれくらい生きられるのか-。
10年後に何らかの理由で死亡している確率を表す「健康度評価システム」を作成した滋賀医科大学福祉保健医学教室の上島弘嗣教授は「このシステムを作ったのは、将来起こる可能性がある病気を、生活を改めることで防ぐための動機付けが目的です」と話す。

●血圧や血糖値を使用
健康診断は、現在の健康状態を知り、病気を予防するためのもの。
血圧や血糖値などで、動脈硬化の程度や、血圧の高低、糖尿病の傾向などが分かる。
それを基に治療が行われ、生活の改善が指導される。
 
「従来の診療活動は、一般的にはここまででした。しかし、『健康度評価システム』はさらに踏み込んで、もっと積極的に生活改善に取り組む意識を高めてもらおうという狙いがあります」と上島教授。

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健康度評価システムは、10年後に何らかの理由で死亡している確率を、年齢、血圧、喫煙習慣、血糖値など、代表的な危険因子を指数にして計算するものだ。
例えば、血圧と年齢による死亡危険度指数では、40歳代の正常血圧者を1とすると、65~69歳の高血圧者は22.4倍になる。同年齢の正常血圧者は17.1倍だ。
 
喫煙と血糖値による死亡危険度指数では、血糖値が正常の非喫煙者を1とすると、 1 日に 2 箱吸う喫煙者で血糖値が160ミリグラム以上、または糖尿病である場合、2.7倍になる。


疫学調査を基に作成
さらに、この 2 つの指数を用いて、表のように「健康度の計算」を行うと、10年後、自分が死亡している確率(1,000人当たり)が出る。
だれでも簡単に計算ができるのがこのシステムの大きな特徴だ。
 
上島教授らは、このシステム作成のために、1980年の厚生省循環器疾患基礎調査の対象者 1 万人を、14年間追跡する疫学調査を実施した。
全国300地区から無作為に抽出された対象者は、年齢が30~89歳、このうち調査期間中に死亡した1,300人について、死因を厚生省人口動態統計を基に特定した。
 
「このシステムは、必ずしも個々人にぴたりと当てはまるものではないが、過去の疫学調査から導き出された平均的な予測値なので、生活習慣を改める動機付けとして、十分説得力があります」
 
喫煙、アルコール、食事、運動などの面で、生活習慣の改善を求められている人は、死亡確率を示されることで、改善の必要性を肌身に染みて感じることになりそうだ。
http://www.medical-tribune.co.jp/kenkou/4.htm

<私的コメント>
この記事の出典は「Medical Tribune」という医師向けの週刊新聞です。
非常に興味深い記事なのですが、残念ながらいつの記事か書かれていません。

生命保険は人間の生死にかかわる統計データ「生命表」をもとに設定されています。

ただし、死亡統計は過去から現在までのデータのみが使用されるのに対し、実際の生死は将来発生することです。
したがって、当然予測に誤差が発生し得るわけです。
そのようなときに保険料収入が不足する事態になってはいけないため、保険料計算に用いる死亡率にはあらかじめ安全が見込まれているのです。
このときの死亡率を予定死亡率と呼び、保険料計算の重要な資料となります。

今回の記事の内容も、過去のデータにもとづいたものですから、今後(将来)の生活に変化が起これば当然死亡率も変わってくることになります。
しかし、「10年後にどうなっているか」という切り口は現実的であり、今後の生活設計を考える上でもつい身を乗り出してしまいます。





<きょうの一曲> So What
So What - Jonh Coltrane and Miles Davis
http://www.youtube.com/watch?v=RjwVwASlVn4&feature=related


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ピエール・ボンコンパン Pierre Boncompain 『赤いキリム』 油彩
http://www.seikougarou.co.jp/sell/PierreBoncompain/1531.html



他に
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があります。