子どものせき

子どものせき 感染症以外の病気 原因かも

子どものせきの原因は千差万別。
せき止め薬などを安易に飲ませると、悪化させることもあり注意が必要だ。

小児科の一般外来を受診する子どもの病気で、最も多いのが呼吸器感染症だ。
全体の半数以上を占めており、季節によっては8割を超える病院もあるという。

重症化を防ぐには、適切な治療を早く受けることに尽きる。
せきの原因は呼吸器感染症だけとは限らない。
何の病気なのか、正確に診断することが大切だ。

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子どものせきは年齢によって、かかりやすくなる病気が違ってくる。
例えば新生児や乳児では、RSウイルスによる細気管支炎だ。
大きな子どもなら風邪の症状だけで終わっても、1歳未満では呼吸困難になるなど重症化しやすい。

幼児期では、のどに鼻水がたまってせき込む後鼻漏(こうびろう)症候群が増えてくる。
副鼻腔(びくう)炎が原因になることも多いという。
3歳ごろまでに長引くせきが突然始まれば、豆類などの異物が気管支に入ってしまった可能性も考えた方がいい。

学童思春期に入ると、心因性のせきにも注意が必要だ。
ストレスなどの原因を取り除くことが大切で、せき止め薬は効果がない。
また、ぜんそくと分からずにせき止め薬を飲ませると、症状を悪化させることもあるという。

せきは異物を外に出す生体防御反応なので、せきを止めるのではなく、せきの原因を治さなければいけない。
受動喫煙でも、せきはひどくなる。
換気扇があっても、同じ室内で喫煙するのは避ける必要がある。

小さな子どもほど自分の状態を伝えられないため、保護者が子どもの様子を見続けることも大切。
いつ、どんな状況でせきが出るのか。顔色や呼吸、食欲(哺乳〈ほにゅう〉量)の変化などを小児科医に伝えられれば正確な診断につながる。

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激しいせきと高熱が続くのがマイコプラズマ
患者の8割が14歳以下で学級閉鎖になった地域もある。
インフルエンザだと思い込み、治療が遅れ肺炎で入院する患者も増えてきた。

すぐに分かる検査法はない。
そのため、鼻水が目立たず、乾いたせきなどの特徴があれば、効果の高いマクロライド系の抗菌薬で治療を始めることが多い。

しかし、ここ数年でマクロライド系が効かない耐性菌が増えてきた。
48時間以内に熱が下がらなければ、耐性菌の可能性がある。
他の抗菌薬を試しても症状が続けば、最終的にステロイドを併用することもある。(斎藤孝則)


◆相談ナビ
夜間や休日でも病院に行くべきか、家で子どもの様子をみるべきか、保護者としては悩むところ。
日本小児科学会では、生後1カ月から6歳までを対象とした
「こどもの救急」
http://kodomo-qq.jp
を開設。
すぐに病院を受診するかどうか、判断の目安を提供している。


出典 朝日新聞・朝刊 2011.12.22(一部改変)
版権 朝日新聞社