紫外線とつき合う

1日15分日光浴も大事 日焼け止め工夫し、紫外線とつき合う

5月から8月にかけて、太陽からの紫外線が1年で最も強い時期。
日焼け止めや日光浴など、紫外線とはどのようにつきあえばよいのでしょうか。
   
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紫外線が肌に当たると、肌の浅い部分(表皮)で活性酸素ができ、細胞や組織を酸化させ、変質させてしまう。皮膚が炎症で赤くなり、さらに、表皮の色素細胞がメラニン色素を作り、肌が黒くなる。
これが続くと肌の老化やしわ、ほくろ、ひどい時は皮膚がんの原因になる。
 
2005年に専門誌に発表された国内の主要94施設の集計によると、皮膚がんで最も多い「基底細胞がん」は1987年からの14年間で約5割増えた。
紫外線を浴びすぎないよう、子どものころから注意が必要だ。
 
服、帽子、日傘などの着用とともに、日焼け止めを上手に使いたい。
紫外線には波長が長く、皮膚の深くまで届くA波と、波長が短く、エネルギーが大きいB波が含まれる。
日焼け止めの商品説明で「PA++」「SPF40」などとあるのは、それぞれA波、B波の紫外線カットの効果の指標だ。+の数や数字が大きいほど効果が高い。
 
日本化粧品工業連合会は、日常的な散歩や買い物、あるいは屋外での運動などでの使い分けを提案している。
炎天下のレジャーや、紫外線に特に過敏な体質の人は、どちらも効果の高いものを使う。
ムラなく伸ばし、状況をみながら2、3時間おきに塗り直すといいという。
 
日焼け止め成分には、紫外線の散乱剤と吸収剤の二つがある。
光を物理的に反射する散乱剤の成分は酸化チタンなど。
一方、光を熱に変えるのが吸収剤。
吸収剤は肌にかぶれを起こすことがあり、肌が敏感な人は吸収剤が含まれていない製品を使うといい。

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紫外線の肌への影響は悪いことばかりではない。
皮膚では、紫外線の働きでビタミンDが作られる。
腸管からのカルシウムの吸収を促す、体に必要な物質だ。
魚介類やキノコ類、卵黄など、食事でも摂取できますが、十分にまかなうには適度な日光浴も必要。
高齢者が骨粗鬆症を防ぐのにも有効だ。
顔と両手を出して1日15分程度、屋外に出ることで十分という。
 
紫外線には、肌の免疫反応を正常化してアトピー性皮膚炎の発症を防いだり、乾癬を防ぐ効果があるという。
ただ、紫外線に当たると湿疹が出る「紫外線アレルギー」の人もおり、注意が必要だ。
春と秋の紫外線の波長はアレルギーを生じやすい。

糖尿病薬、降圧剤などの影響で紫外線アレルギーになる人もいる。
日光浴すべきか遮光した方がいいかは、医師に相談したい。


関連サイト
日本化粧品工業連合会のサイト
http://www.jcia.org/n/pub/
(化粧品の選び方が書かれている)

環境省のサイト
http://www.env.go.jp/chemi/uv/uv_pdf/02.pdf
(ビタミンDの摂取効果も考慮し、「両手の甲くらいの面積が15分間日光にあたる程度、または日陰で30分間くらい過ごす程度」の日光浴を推奨する)


出典
朝日新聞・朝刊 2015.5.20