卵アレルギー、早くから食べると発症率低下

卵 生後半年から摂取 アレルギー抑制

アトピー性皮膚炎と診断された乳児が生後6カ月から卵を食べ始めると、1歳時点で卵アレルギーになるのを約8割減らせるとの研究結果を国立成育医療研究センターのチームがまとめた。
アレルギーの原因となる食物は早く食べ始めた方がいいという考え方で、新たな予防法につながる可能性がある。
2016年12月8日付英医学誌ランセットに発表した。

生後4~5カ月時点で、食物アレルギーを発症するリスクが高いアトピー性皮膚炎と診断された乳児を、生後6カ月からゆで卵(黄身と白身)とカボチャの粉末を毎日食べるグループ(61人)と、カボチャの粉末だけを食べるグループ(61人)に分けた。
 
卵の量は、生後6~9カ月は1日50ミリグラム、それ以降は250ミリグラムと段階的に増やした。
両グループともアトピー性皮膚炎の治療を並行して行い、1歳の時点で、ゆで卵2分の1個(32グラム)に相当する7グラムの粉末を食べてもらい、卵アレルギーを発症するかどうかを調べた。
 
その結果、卵を食べていない乳児の発症率が38%だったのに対し、卵を食べた乳児は8%と、発症を約8割抑えることができた。
重い副作用はなかった。
少しずつ卵を食べることで耐性がついたと考えられる。

生後1歳未満からアレルギーの原因となる食物を食べることの予防効果は昨年、ピーナツでも発表されている。
「すでに卵アレルギーと診断されていると、ごく少量食べただけで症状が出る可能性がある。独自に試すのではなく、専門の医師に相談して欲しい」と研究グループは話している。
 
食物アレルギーは乳幼児の約1割にあるとされる。
卵は最も多い原因で、3歳児の6%が医師の指示で卵を食べるのを控えているとの報告がある。
    
 ◇ ◇
 
<海老沢元宏・国立病院機構相模原病院医師の話>
すべての例で重篤な副作用がなく、1歳の時点で卵アレルギーの発症を抑えたという点で画期的だ。
ただ、今回の研究への参加者は120人程度で、もっと参加者が増えれば、副作用が出る可能性もある。
食物アレルギーを治療する際は、血液検査が陽性というだけで安易に完全除去せず、できるだけ取らせるという方向性が重要だ。

イメージ 1


参考
朝日新聞・夕刊 2016.12.9