早期食道がんの内視鏡

早期食道がん内視鏡 粘膜ごと切除、再発少なく

がんの中でも治療が比較的難しいといわれてきた食道がん
でも、早い段階で見つけられれば、負担の少ない内視鏡治療で完治が期待でき、より確実にがんを取り除く手法も普及してきた。
早期発見のためには、自身の食道がんリスクについて知ることが大切だ。

この治療は「内視鏡的粘膜下層剥離術」(ESD)と呼ばれる。
基本的に、厚さ1ミリに満たない食道の粘膜にがんがとどまっている場合が対象になる。
内視鏡で撮った映像をモニターで確認しながら、先端の電気メスでがんを粘膜ごとはがし取る。
 
食道がんの外科手術は、胸を開いて食道をリンパ節とともに取り除き、胃を持ち上げてつなぐのが一般的。

安全な手術が試みられているものの、患者の負担は小さくない。
胸を開かずにすむ負担の軽い治療をめざして、早期がんを対象とした内視鏡治療が1980年代から試みられてきた。
 
当初は直径1センチあまりの「輪っか」にがんを引っかけて焼き切る「EMR」という手法が中心だった。
しかし、大きながんだと、EMRでは一度に取りきれず、同じ場所(局所)で再発する例が少なくなかった。
 
がんの周囲の粘膜を切り、下の層からはがしていくESDは、大きながんでも粘膜にとどまっている限り一度に切除でき、局所再発のリスクを大幅に減らせる。
また、取ったがんを詳しく調べやすく、EMRと比べてより精密な診断につながるという。

治療は2時間ほどで終わり、5~6日間で退院となるケースが多い。
国内の16施設がESDやEMRを受けた患者330人の経過を調べたところ、5年後の生存率は95.1%だった。
局所再発をほぼゼロにできることもあって、いまはESDが内視鏡治療の主流となっている。

飲酒ですぐ赤くなる・喫煙・・・リスク知り、早めに検査を
国内では年間2万4千人ほどが新たに食道がんと診断されている。
国立がん研究センターの集計をみると、2014年に国内の主な施設で食道がんと診断されたケースのうち半数以上は、内視鏡治療の対象にならないほどがんが進行していたと推定される。
 
食道がんは、早期では症状を感じないことが多い。

現在、日本で見つかる食道がんの最大の要因とみられるのはお酒だ。
しかも、「コップ1杯ほどのビールですぐに顔が赤くなる体質の人は、かつてそうだった人を含め、リスクが大きい。
この体質は遺伝子で生まれつき決まっていて、飲み続けて酒に強くなっても変わることはない。
喫煙や緑黄色野菜の不足もリスクを高める。
 
こうしたリスク要因を抱える人は、症状がなくても検査を受けることがすすめられる。

自身の食道がんリスクが計算できるサイトもある。
http://www.kurihama-med.jp/alcohol/check/check.html
 
人間ドックなどの際に受ける内視鏡検査で食道がんが見つかるケースもある。
ただ、こうした検査では胃がんの発見が主眼となることもあって、食道の異変は見落とされることが珍しくない。
赤くなる体質で多めに飲酒する人は、そのことを検査の際に伝えたほうが、より注意深くみてもらえる。

 
イメージ 1


参考
朝日新聞・朝刊 2016.11.30





早期食道がんに対する内視鏡的粘膜層剥離術(ESD)の治療成績について
https://www.heartlife.or.jp/hospital/cancer/esd/


早期食道がん・早期胃がん・早期大腸がんに対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)について
http://www.mtopia.jp/endoscope/esd.html

手術なしで食道がんが治る? 内視鏡で治療可能なケース
https://dot.asahi.com/wa/2014032000039.html