チョコレートで健康

チョコっと健康にいい? 血圧低下や認知症予防期待 カカオ高配合に注目集まる

カカオが高配合されたものを適量、継続的に食べると、血管や認知機能などへの健康効果が期待できるという。
身近な嗜好品にどんな効用があるのだろうか?
 
チョコレートの主な成分は、カカオ豆の胚乳部分をローストしてすりつぶしたカカオマスと、カカオ豆の脂肪分であるココアバター
これに砂糖を加えたものをダーク(ブラック、ビター)チョコレート、砂糖のほか乳製品も加えたものをミルクチョコレートと呼ぶ。
一方、カカオマスが入らず、白いココアバターに砂糖や乳製品を加えたものはホワイトチョコレートに分類される。
 
ダークチョコレートの中でもカカオ分が70%以上のものをハイカカオチョコレートと呼び、機能性が評価されている。
カカオ分70%チョコレートは、カカオマスココアバターといったカカオ由来成分が70%を占める。

抗酸化力備える
カカオマスにはポリフェノール、食物繊維、各種ミネラルなどが豊富に含まれている。
イカカオチョコレートは、その割合が高いので、砂糖や乳製品の配合比が高いチョコレートに比べて健康効果が期待できる。
 
ポリフェノールとは、植物特有の色素や苦み・渋み成分。赤ワインや緑茶で知られるが、実はカカオマスにもたっぷり含まれる。
カカオポリフェノールはチョコレート独特の風味のもとだ。
一方でさまざまな病気の原因となる活性酸素を除去する抗酸化力がある。
カカオポリフェノールの正体は、主にエピカテキンと呼ばれる物質で、多彩な健康効果が期待できる。
 
実証するため、日本初のヒトを対象とした大規模調査が2014年に愛知県蒲郡市愛知学院大学、製菓会社の明治の産官学共同で行われた。
蒲郡市内外の45~69歳の347人に、カカオポリフェノールを多く含むカカオ分72%チョコレートを4週間、毎日25グラム摂取してもらい、身体状態の変化を検証した。
 
結果、ハイカカオチョコレートが生活習慣病の予防改善につながる可能性が確認された。
例えば高血圧予防。
チョコレートの摂取前後で、血圧低下が統計的に認められたという結果だった。
特に血圧が高めな人ほど低下量が大きかったという。
カカオポリフェノールの抗酸化作用で血管がしなやかになり、赤血球が通りやすくなったためと考えられる。
 
血中のHDL(善玉コレステロール)が明らかに上昇し、動脈硬化予防が期待できる、と研究グループはいう。
HDLには血管内のLDL(悪玉コレステロール)を排除する働きがあるからだ。
LDLが過剰に増えると、血管壁に溜まって動脈が分厚く硬くなる。
動脈硬化の指標となる血管の炎症や酸化ストレスの数値も低下したという。

食べ過ぎは禁物
さらに脳の海馬部分に多く存在するBDNFというタンパク質が増えることも確認できた。
BDNFは加齢に伴い減ることが分かっている成分で、これが増えると記憶・学習などの認知機能を促進させるという。
また、うつ病アルツハイマー認知症との関連性も報告されている。
 
現在、ハイカカオチョコレートの継続摂取によるBDNFの減少抑制効果や、認知能力の低下を防げるかどうか調べる研究が進められている。
 
ちなみに4週間チョコレートを食べ続けた人たちに、体重やBMI(肥満指数)の変化は特になかった。
1日25グラムとは板チョコ5かけらくらいだ。
カカオ分72%なら、この量で約630ミリグラムのカカオポリフェノールを摂取できる。
カカオ分の含有率が上がるほど、ポリフェノール量は増えるが、苦みも増す。
毎日食べるなら、カカオ本来の味わいとほのかな甘みのバランスがよいカカオ分70%程度がおすすめだ。
 
量は1日25~28グラムなら肥満の問題はない。
しかし、カカオポリフェノールが体によいからといって食べ過ぎは禁物。
チョコレートは高カロリーだ。
またカカオポリフェノールは早く吸収されて抗酸化作用を発揮するものの、効果は持続しにくい。
1回で食べず、1日何度かに分けて少しずつ食べたい。

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「便通促す」という研究結果も
イカカオチョコレートを継続して食べると、便通の改善が期待できそうだ。
カカオ豆のタンパク質「カカオプロテイン」が着目されている。
昨年、腸内環境を改善する効果が突き止められた。
 
カカオプロテインは乳酸菌、ビフィズス菌と並ぶ腸内善玉菌のフィーカリバクテリウムを増やす。
この善玉菌は便通を促す酪酸をたくさん生み出すという。
長寿の人の腸内には、このような酪酸産生菌が多いこともわかっている。
新たに発見された機能成分のカカオプロテインは要注目だ。

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参考・引用
日経新聞・朝刊 2017.2.11