メディカルフィットネス

メディカルフィットネス 病院が運営、運動に成果 高齢者らも安心 血圧など改善

医学的な知見を患者それぞれの運動プログラム作成に利用する「メディカルフィットネス」が広がり、生活習慣病の予防などに成果を上げつつある。
個人の健康度や体力に合った運動療法を行う施設は全国200カ所を超す。
高齢者らが集う地域の拠点にと、仲間づくりに力を入れ継続率を高める取り組みも目立つ。

こうした取り組みはメディカルフィットネスと呼ばれる。
医師の指示のもと、医療機関で健康状態を詳しく調べた上で体力を測定。
会員はそれに基づき作成された運動プログラムに取り組む流れが一般的で、管理栄養士による栄養指導もある。
会員は入会費や1万円前後の月の利用料のほか、検査料などを支払う。
 
ある施設が半年~5年間、追跡調査した結果、血圧や中性脂肪、血糖値の平均が大きく低下していることが分かったという。
この施設では高血圧症では約4割、脂質異常症では約6割が薬の量を減らしたか、服薬を中止していた。
 
こうした効果が上がるよう、「楽しさ」を加味するのが最近の傾向だ。
堅苦しい印象を持たれないようにボウリングやハイキング、書道や絵画などのカルチャースクールといったイベントを開催するなどして継続させることを重視する。

患者が装着したリストバンド型端末で24時間、運動量や睡眠時間などを把握するシステムを試験導入している施設もある。
システムが自宅でできるエクササイズなどを分析し「もう少し頑張りましょう」などのコメントとともにメールを送る。
人工知能(AI)で最適な助言や運動法を提案する仕組みの実現も目指している。

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全国で200ヵ所超
メディカルフィットネス施設は1980年代から全国に広がった。
88年度からの「第2次国民健康づくり対策」で国は遅れていた運動習慣の普及を推進。
健康増進法の2003年施行もあり、健康意識の高まりを受けて取り組む施設が増えた。
 
医療機関が開設・運営する施設は約220カ所。
医療法42条に基づき、医療施設(病院・医院)と疾病予防施設(フィットネス施設)の「合築」が認められた施設だ。
医師や健康運動指導士らの配置、有酸素運動用機器などの整備が要件になる。
 
この「42条施設」とも一部重なる形で、一般のスポーツクラブなどを含む約340カ所が「運動型健康増進施設」に認定されている。
有酸素運動を安全かつ適切に行える」とされた施設だ。
うち約210施設は生活習慣病に治療効果がある運動療法を行う「指定運動療法施設」。
利用料は治療費とみなされ、所得税の医療費控除の対象になる。

 
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参考・引用
日経新聞・朝刊 2017.1.22