子どもを熱中症から守る

子どもを熱中症から守る

汗をかく機能が未熟な子どもは、大人より熱中症になるリスクが高いという。
どのようなことに注意したらよいのだろうか。

顔色・熱・・・異変チェック
消防庁によると、6月に熱中症の疑いで救急搬送されたのは約4千人で、昨年(2017年)の2倍以上。
気象庁の予報では、7~9月は沖縄・奄美地方を除いて全国的に平年より気温が高くなりそうで、今後も注意が必要だ。
 
小中高校生は、運動中に熱中症になるケースが多い。
日本体育協会によると、部活動を始めたばかりの1年生や、休み明け、合宿の初日などは要注意だ。
体が暑さに慣れていないためで、運動量は急に増やすのでなく、少しずつ慣らす必要がある。
「運動中は水分をとりたい時に、とりたいだけとれる環境を作って」と同協会。
自由にとれる環境に置けば、子どもは自発的に発汗量に見合った水分をとるという。
 
熱っぽい、食欲がない、おなかの調子が悪いといった時は、運動を休ませる。
運動を見守る大人の側からも、声かけが必要だる。
 
子どもは、なかなか自分から不調を訴えない。
会話がない、笑顔がない、反応がにぶいなどの様子を見せたら気をつけよう。
「大丈夫?」と聞くと「大丈夫」と答えてしまうので、「どうしたの」と聞くとよい。
 
熱中症を疑う症状が出たら意識があるかを確認して、体を冷やす。
病院へ行く場合はスムーズに治療できるよう、具合が悪くなった時の状況を説明できる人が付き添う。
病院へ行かずに済んでも当日は運動をさせず、少なくとも翌日まで経過を見よう。

乳幼児 特に注意
乳幼児の場合、車への閉じ込めに特に気をつけたい。
日本自動車連盟JAF)によると、昨夏、車内に残された子どもが誤って車をロックしてしまい、熱中症を疑う症状などが出て、緊急対応をするケースが相次いだ。
JAFが実施した2010~11年のインターネット調査では、回答者(有効回答約7千人)の約3割に、子どもを残したまま車を離れた経験があった。
 
JAFの実験では、気温35度の晴れた日にエンジンを切ると、窓を3センチ開けておいた場合や、フロントガラス部分にサンシェードを置いた場合でも、車内の温度は30分後に40度を超えた。
JAFは「たとえ短時間でも、車内には絶対に残さないで」と呼びかける。
 
乳幼児は暑さに特に弱く、体調不良を言葉で伝えられない。
大人が注意するしかない。
日常生活で汗が多い、顔が真っ赤、尿が少ないなどの症状が出たら注意する。
外出時は風が通るようゆったりした服を着せ、帽子は時々脱がせて蒸れないようにしよう。
冷房の利いた屋内に入って休ませることも大切だ。

発汗機能が未発達
そもそも、子どもはなぜ暑さに弱いのか。
それは子どもは、汗をかく機能が未熟なためだ。
 
汗は蒸発する際に、体の熱を奪って体温を下げるが、発汗機能が未熟な子どもは、汗をかく量が十分でない。
 
気温が皮膚温を下回る時は、血液を皮膚にたくさん送って皮膚を温め、体の熱を温度差のある外気に逃がして、上手に体温を調節している。
しかし、気温が皮膚温を上回る真夏の暑さでは、この方法では体の熱を逃がせなくなる。
 
その結果、体温が上がってしまい、熱中症になりやすくなる。
 
熱中症の危険を予報で知るには、環境省が発表する「暑さ指数」がある。
気温に湿度や日差しの強さなどを加味して、危険度を数値で示す。
今年からメール配信サービス(通信料は各自が負担)をスタート。
環境省のホームページ http://www.wbgt.env.go.jp/mail_service.php にアクセスし、全国841の観測地から希望地点を選ぶと、運営会社を通じて1日に1回、予報が届く。

参考・引用 朝日新聞・朝刊 2018.7.6