生きていることだけでも素晴らしい

貧しいからといって、

恥じる必要はない。

恥ずべきは、

貧しくて志がないことである。

 

地位が低いからといって

卑下する必要はない。

卑下すべきは、

地位が低くて

能力のないことである。

 

年老いたからといって

嘆く必要はない。

嘆くべきは、

年老いて目的もなく

生きていることである。

 

死を迎えるからといって

悲しむ必要はない。

悲しむべきは、

死んだあとに、この世に役立つものを

残さないことである。

(呂新吾「呻吟語」)

 

<コメント>

呂新吾のエリート臭がプンプン匂います。

地位が低くて能力がなくても、年老いて目的もなく生きていても、この世に役立つものを残さなくてもいいんです。

ボーッと生きていてもいいんです。

むしろ羨ましいことなんです。

生きていること自体に価値があるんですから。

大腸がん、精密検査のすすめ

大腸がん、精密検査のすすめ

日本人男性で一番多いがんは前立腺がん、女性では乳がんで、男女それぞれ9人に1人が罹患する。

男女合わせて一番多いのが大腸がんで、肥満や運動不足などで増える欧米型のがんの代表だ。  

大腸がん検診は国が推奨するがん検診のなかでも一番簡単な検査で、痛くもかゆくもない。

便を採って血液が混じっていないかを確認する「便潜血検査」だ。

2回便を採るのが標準となる。

暑い時期はビニールで包んで冷蔵庫に入れておくと精度が上がる。  

大腸がんの一次検診を1,000人が受けたとすると、934人は陰性、66人が要精密検査(大腸内視鏡)となる。

66人のうち精密検査で最終的に大腸がんと診断されるのは2人に過ぎないから、要精密検査といわれてもあまり心配する必要はない。

むしろ早期発見のチャンスととらえるべきだ。

がん検診で見つかるがんの多くは早期で、例えばステージ1の大腸がんの5年生存率は95%に上る。  

しかし大腸がん検診の問題は、精密検査の受診率が低いことだ。

住民検診での精密検査の受診率は乳がん検診で約9割、肺がん検診、胃がん 検診で8割強だが、大腸がん検診では約7割にとどまる。

会社で行う職域がん検診では5割以下と低迷している。

これではがん検診を受けたことにはならない。  

精密検査を受けない理由として「時間がない」や「費用がかかる」のほか、多くの人が「痔のため」をあげている。  

痔のありなしで便潜血検査の陽性率はほぼ変わらないというデータがある。

痔だけが原因で陽性になる確率は2%程度とされる。

東京大学特任教授・中川恵一)

日経新聞・夕刊 2023.6.21

コロナワクチン、4回接種後に免疫反応鈍化 

コロナワクチン、4回接種後に免疫反応鈍化 

オミ株には、オミ株対応ワクチンがベスト

https://medical-tribune.co.jp/news/2023/0419556363/

(要ログイン)

横浜市立大学大学院循環器・腎臓・高血圧内科学の研究グループは、血液透析(HD)患者と医療スタッフを対象に新型コロナウイルスSARS-CoV-2)のmRNAワクチン4回目接種後前後の抗スパイク蛋白質抗体価(IgG抗体価)を検討。

患者の従来株型ワクチン(ファイザー製トジナメラン)に対する液性免疫反応は、3回目接種までは大幅な上昇反応を示すものの、4回目接種では有意に鈍化したことをClin Exp Nephrol (2023年3月28日オンライン版)に報告した。

コロナ感染者数、週1回の発表、初回は19日 「注意報」などなく

コロナ感染者数、週1回の発表、初回は19日 「注意報」などなく

毎日の増減はつかめず 

・コロナが季節性インフルエンザ並みの「5類」に移行され、感染者数の発表方法が変わる。

・まず、国や自治体による毎日の公表がなくなり、指定した医療機関の「定点把握」に移行する。

しかも頻度は毎週1回(金曜日)で、1週間分の発表となる。

初回は5月8~14日分が厚生労働省のホームページ(HP)で19日に公表される。

毎日の増減はつかめないので、数字の丁寧な分析が必要になる。

コメント;

全国約5000の「定点医療機関」のみ集計になるため、「全数把握」と違って感染患者数も少なくなります。

週1回であっても感染患者数が正確なものであればいいのですが、当然第8派との比較などはできなくなります。

今までの流行と比較をするために補正をかけるにしても、係数をどのように見つけるのでしょうか。

当院では5月7日に2人、8日に5人の陽性者が出ました。

7日の感染者数はHERSYSに登録手続きを行いました。

しかるに8日の分は登録不要で、今後当院の発生者数は登録不要、言い換えれば登録できなくなってしまいました。

発熱外来を行っている医師は「コロナに向き合っている」という自負があります。

感染患者数の登録など、それほど面倒などとも思っていません。

むしろ、疎外感さえ覚えます。

居住している市の「定点医療機関」を調べようとしましたが、具体的な医療機関名を探すことができませんでした。

実際、積極的に「発熱外来」に取り組んでいない医療機関が「定点医療機関」に選ばれているようなことがあれば茶番です。

 

インフルの手法を用い、定点把握

・定点把握の方法は季節性インフルエンザと同様に行うこととなっている。

全国約5000の「定点医療機関」が月~日曜日の患者数を年代や性別ごとに保健所に報告している。

このデータから、患者数の実数と1医療機関当たりの患者数を全国と都道府県別で示す。

医療機関からは、翌週火曜日に同省に報告があるため、各自治体は国より一足早い公表もできる。

 

「注意報」などの指標はなく

・同じ5類のインフルでは流行レベルを示す指標として1医療機関当たりの患者数が10人以上で「注意報」、30人以上で「警報」が発令される。

一方、新型コロナはインフルと違って季節を問わずに流行を繰り返し、過去の蓄積データも乏しいため現時点ではこうした指標を設けない。

・ただし、目安として「第8波」となった昨年10月以降の1医療機関当たりの患者数と比べられるようにグラフで示す。

また再流行の兆しをとらえるため、献血血液を活用した抗体保有率調査や、下水に含まれるウイルス量から感染動向を推定する研究を続ける。

 

死亡者数 死因別は5カ月後

・死亡者数の毎日の公表もなくなり、市区町村が死亡届などから作成する国の「人口動態統計」を用いて集計する。

しかし、総死亡者数の把握に2カ月かかり、詳しい死因別の公表は5カ月後になる。

より早く感染動向をつかむため、中核市や東京23区など一部の自治体の協力を得て、先行して死亡者の総数を1カ月をめどに集計する。

そのうえで例年の水準からどれだけ増えたかを見る「超過死亡」を把握して役立てる。

・死亡者の定義は、これまで感染が確認された全員が対象だったが、死亡診断書に医師が死因として記した場合に限られる。

 

重症者は毎週金曜日に

・病床の逼迫状況を把握するための「入院者数」「重症者数」は、移行後も全医療機関からの報告を受けて毎週金曜日に公表する。

初回は19日で、一定期間後に定点把握に変更する。

変異株の発生を把握するゲノム解析は、目標数を4分の1程度に減らして継続する。

・「まずは医療を希望する人に提供できる態勢を整えることが最も重要。感染者の数値に一喜一憂する状況ではなくなった。それが、5類移行の意味だ、再び感染拡大の局面になれば状況次第で対応を検討したい」と厚労省の担当者は説明する。

毎日新聞 2023.5.8 一部改変)

ゾコーバでコロナ後遺症のリスク低下

ゾコーバでコロナ後遺症のリスク低下

https://medical-tribune.co.jp/news/2023/0222555756/

(要ログイン)

塩野義製薬は本日(2月22日)、同社の経口新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル(商品名ゾコーバ)に関し、COVID-19罹患後症状(以下、Long COVID)に対する効果を検討したプラセボ対照前向き試験の結果を発表。

6カ月間の追跡期間中、咳や倦怠感、嗅覚異常などのLong COVIDの相対リスクが、プラセボ群に比べエンシトレルビル群で45%低下。

集中力・思考力の低下、物忘れなどの神経症状についても33%低下したと報告した。

結果の詳細は、米国で開催された第30回・レトロウイルス・日和見感染症会議(CROI 2023、2月19~22日)で発表された。

レカネマブ

レカネマブ

アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」(2023.1.16)

https://www.eisai.co.jp/news/2023/news202307.html

エーザイ株式会社とバイオジェン・インク (米国)は、本日、エーザイが抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル1抗体レカネマブ(一般名、米国ブランド名:LEQEMBI™)について、脳内アミロイド病理が確認されたアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)および軽度認知症(総称して早期AD)に係る適応で、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に新薬承認申請を行った。

・Clarity AD試験において、レカネマブは、主要評価項目である全般臨床症状(CDR-SB2:Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)について、投与後6カ月以降すべての評価時点において統計学的に高度に有意な悪化抑制を示した。

また、全ての重要な副次評価項目においても統計学的に高度に有意な結果が認められた。特に、アミロイドPET評価では、レカネマブ投与後3カ月からすべての評価時点で、統計学的に有意な脳内アミロイド蓄積の減少がみられ、ADCS MCI-ADL3を指標とする日常生活動作低下の抑制も示された。

安全性評価として、レカネマブ投与群で最も多かった有害事象(10%以上)は、Infusion reaction、ARIA-H(ARIAによる脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着)、ARIA-E(浮腫/浸出)、頭痛および転倒だった。

・本試験の結果は、2022年11月に第15回アルツハイマー臨床試験会議(CTAD)にて発表し、同時に査読学術専門誌the New England Journal of Medicineにも掲載された。

Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948

 

米当局、アルツハイマー病治療の新薬を「迅速承認」 エーザイが開発(2023.1.8)

https://www.asahi.com/articles/ASR171SP9R17ULFA001.html

エーザイが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、米食品医薬品局(FDA)は6日、条件付きで承認したと発表した。

病気の進行を長期間抑えることを狙った新しいタイプの薬の承認は、2021年に同様に条件付きで承認された「アデュカヌマブ」以来、二つ目となる。

・症状が軽い段階の患者が対象。

エーザイは米国での価格について、体重75キロなら年間で2万6500ドル(約350万円)と設定した。

FDAは「迅速承認」と呼ばれる仕組みで承認した。

スピードを重視し、効果が十分に証明されていない段階で認めるものだ。

しかし、この段階では米国で高齢者向けの保険が原則として適用されず、すぐに普及するのは難しい。

FDAエーザイに対し、承認の条件として追加で検証試験を実施するよう求めた。

エーザイは近く、22年秋に発表した治験のデータを検証試験として提出する予定だ。

約1800人に18カ月間投与した結果、認知症の程度を評価するスコアの悪化が27%抑えられた。

副作用として脳の腫れなどが偽薬に比べて増えたが「想定内」としている。

FDAは年内に正式に承認するかどうかの結論を出す見込み。承認されれば高齢者向け保険が適用される可能性が高い。

・また、エーザイは3月までに日本や欧州の当局にも同じデータを用いて承認申請する方針だ。

早ければ年内に日本でも承認され、使われ始める可能性がある。

中国ではすでに当局へのデータ提出を始めている。

アルツハイマー病の国際団体によると、世界には認知症の患者が5500万人いて、50年には1億3900万人に増加するという。

そのうち60~80%がアルツハイマー型とされる。

患者数が増える一方で、これまでの薬は症状が一時的に改善するが、やがて薬を使う前と同じスピードで認知機能が低下していた。

<コメント>

問題点は二つ。

まず、高薬価であり、費用対効果がどうかということ。

もうひとつは、脳内アミロイド蓄積の減少というのが蓄積抑制なのか蓄積除去なのか。

後者であれば、脳細胞の不可逆的変化が改善される可能性は薄いことになる。

そもそも「軽度認知障害(MCI)および軽度認知症」が適応ということなので、自ずと限界があり、「軽度」の時点で使用開始すれば使用期間は当然長期間となる。

効果判定自体も難しい。

糖尿病とCKDの国際ガイドライン(2020年版の改訂版)

糖尿病とCKDの国際ガイドライン SGLT2阻害薬・GLP-1受容体作動薬・MR拮抗薬の推奨事項を更新(2023.1.19)

https://dm-rg.net/news/9f141494-2d5e-4fe0-b11f-f93caa356e73

・KDIGOが先ごろ発表したガイドラインは、2020年版の改訂版に当たり、13項目の推奨事項と52項目の実践ポイントが掲げられている。

主要な改訂点は、SGLT2阻害薬(SGLT2-i)やGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)に関する新たなエビデンスを反映して推奨事項が更新されたこと、および新規ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)に関する推奨事項が追加されたこと。

・SGLT2-iについては、腎臓と心血管の保護に関するエビデンスがあり、2型糖尿病でないCKD患者でも安全性とベネフィットが確認されているとし、血糖管理状態にかかわりなく、2型糖尿病およびCKD患者にとって好ましい第一選択薬であると述べられている。

具体的には、従来よりも腎機能が低下した患者に対しての使用が推奨された。

その内容は、「eGFRが20mL/分/1.73m²以上の2型糖尿病またはCKD患者への使用を推奨する(強い推奨/エビデンスレベル:高)」というもの。

また、実践ポイントとして、SGLT2-iで治療されている患者のeGFRが20mL/分/1.73m²を切った場合も、腎代替療法が開始されるまで継続使用することは合理的であると記されている。

・GLP-1RAについては、肥満、2型糖尿病、CKD患者には優先的に使用することで、意図的な減量を図ることが可能とする、実践的ポイントが加えられた。

同薬の心血管系へのメリットは、eGFRレベルにかかわらず認められ、メトホルミンやSGLT2-iでは血糖管理目標に到達していない患者、またはそれらを使用できない患者に推奨されるとしている。

・新規MRAについては、主として非ステロイド型選択的MRAであるフィネレノンに関するエビデンスをもとに、新たに推奨が加えられた。

その内容は、「最大耐用量のRAS阻害薬(RASi)を使用しているにもかかわらずアルブミン尿(30mg/gCr以上)が認められ、eGFR25mL/分/1.73m²以上で血清カリウムレベルが正常な2型糖尿病患者には、非ステロイド型選択的MRAの使用を推奨する(弱い推奨/エビデンスレベル:高)」というもの。

・非ステロイド型選択的MRAに関する実践ポイントとしては、2型糖尿病やCKD治療のためのRASiやSGLT2-iに上乗せ可能であること、高カリウム血症のリスク抑制のため、血清カリウムレベルが正常な患者を投与対象とし、投与開始後は血清カリウムレベルを定期的にモニタリングすること、腎臓または心血管系にベネフィットのある薬剤を非ステロイド型選択的MRAに優先して用いることなどが示されている。