レカネマブ

レカネマブ

アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」(2023.1.16)

https://www.eisai.co.jp/news/2023/news202307.html

エーザイ株式会社とバイオジェン・インク (米国)は、本日、エーザイが抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル1抗体レカネマブ(一般名、米国ブランド名:LEQEMBI™)について、脳内アミロイド病理が確認されたアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(MCI)および軽度認知症(総称して早期AD)に係る適応で、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に新薬承認申請を行った。

・Clarity AD試験において、レカネマブは、主要評価項目である全般臨床症状(CDR-SB2:Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)について、投与後6カ月以降すべての評価時点において統計学的に高度に有意な悪化抑制を示した。

また、全ての重要な副次評価項目においても統計学的に高度に有意な結果が認められた。特に、アミロイドPET評価では、レカネマブ投与後3カ月からすべての評価時点で、統計学的に有意な脳内アミロイド蓄積の減少がみられ、ADCS MCI-ADL3を指標とする日常生活動作低下の抑制も示された。

安全性評価として、レカネマブ投与群で最も多かった有害事象(10%以上)は、Infusion reaction、ARIA-H(ARIAによる脳微小出血、脳出血、脳表ヘモジデリン沈着)、ARIA-E(浮腫/浸出)、頭痛および転倒だった。

・本試験の結果は、2022年11月に第15回アルツハイマー臨床試験会議(CTAD)にて発表し、同時に査読学術専門誌the New England Journal of Medicineにも掲載された。

Lecanemab in Early Alzheimer’s Disease

https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2212948

 

米当局、アルツハイマー病治療の新薬を「迅速承認」 エーザイが開発(2023.1.8)

https://www.asahi.com/articles/ASR171SP9R17ULFA001.html

エーザイが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、米食品医薬品局(FDA)は6日、条件付きで承認したと発表した。

病気の進行を長期間抑えることを狙った新しいタイプの薬の承認は、2021年に同様に条件付きで承認された「アデュカヌマブ」以来、二つ目となる。

・症状が軽い段階の患者が対象。

エーザイは米国での価格について、体重75キロなら年間で2万6500ドル(約350万円)と設定した。

FDAは「迅速承認」と呼ばれる仕組みで承認した。

スピードを重視し、効果が十分に証明されていない段階で認めるものだ。

しかし、この段階では米国で高齢者向けの保険が原則として適用されず、すぐに普及するのは難しい。

FDAエーザイに対し、承認の条件として追加で検証試験を実施するよう求めた。

エーザイは近く、22年秋に発表した治験のデータを検証試験として提出する予定だ。

約1800人に18カ月間投与した結果、認知症の程度を評価するスコアの悪化が27%抑えられた。

副作用として脳の腫れなどが偽薬に比べて増えたが「想定内」としている。

FDAは年内に正式に承認するかどうかの結論を出す見込み。承認されれば高齢者向け保険が適用される可能性が高い。

・また、エーザイは3月までに日本や欧州の当局にも同じデータを用いて承認申請する方針だ。

早ければ年内に日本でも承認され、使われ始める可能性がある。

中国ではすでに当局へのデータ提出を始めている。

アルツハイマー病の国際団体によると、世界には認知症の患者が5500万人いて、50年には1億3900万人に増加するという。

そのうち60~80%がアルツハイマー型とされる。

患者数が増える一方で、これまでの薬は症状が一時的に改善するが、やがて薬を使う前と同じスピードで認知機能が低下していた。

<コメント>

問題点は二つ。

まず、高薬価であり、費用対効果がどうかということ。

もうひとつは、脳内アミロイド蓄積の減少というのが蓄積抑制なのか蓄積除去なのか。

後者であれば、脳細胞の不可逆的変化が改善される可能性は薄いことになる。

そもそも「軽度認知障害(MCI)および軽度認知症」が適応ということなので、自ずと限界があり、「軽度」の時点で使用開始すれば使用期間は当然長期間となる。

効果判定自体も難しい。