森林浴でリラックス

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清原啓一「マジョリカ壷にバラ」 油絵4号
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昨日(3月15日)は全国的によいお天気でした。おそらく今年一番の陽気だったんでは
ないでしょうか。
いよいよ春の到来を予感させます。
新入生や受験で見事合格した学生には期待に胸を膨らませる季節です。
桜も地方によっては咲いているようです。
我が家の庭の桜も狂い咲きしています。
さてきょうのテーマは季節の先取りとしての森林浴。
新聞記事からの紹介です。


五感でリラックス

場所によってはまだ少し寒いかも知れませんが、木々が芽吹く季節を迎えました。
先日、長野県佐久市の平尾の森に行ってきました。何かしら気持ちがゆったりします。
「自然の効用」を探りました。
    ■ □ ■
「心や体にどう働きかけるのか、明らかではないが、癒やしの効果があることが分かって
きました。
森全体の雰囲気が五感を通して心地よくしてくれるのでしょう」と、森林総合研究所
茨城県つくば市)の香川隆英・環境計画研究室長は話す。

平尾の森はJR佐久平駅から車で約10分。
国土緑化推進機構などが認定する森林セラピー基地の一つだ。
佐久市森林セラピー推進協議会が推薦する森の案内人、池田雅子さんにナビゲーターを
頼んだ。

森を歩く前と歩いた後でストレスは変わるのか。着いてすぐ唾液中の「アミラーゼ」を
測った。
消化酵素の一つだが、ストレスの度合いの指標になるという。

舌の裏に小さなスティックを30秒。
専用の機械で読み取ると「38」。
酵素が反応する度合いを示す数値で、「ややストレスあ
り」だという。

アカマツが自生する遊歩道に雪が残り、ウサギやタヌキの足跡がついている。
土や雪の感触は柔らかだ。
クヌギの枝の先に小さな冬芽が春を待っていた。「チチッ」。
烏の鳴き声がした。
「目を閉じると居場所がわかります」と池田さん。
葉が風にそよぐ音も聞こえてきた。

かすかに、さわやかな香りがする。
樹木が出す揮発性物質「フィトンチッド」には抗菌や防虫作用があるという。
池田さんのすすめる通りに深呼吸をした。

「きれいなものを吸って、いやな物をはき出すようなイメージで」

1時間15分ほど歩いて再び唾液の検査。
「19」。
さっきの半分だ。
メモを取りながらでもストレスが減っていたのだ。

ただ、五感の中でも味覚は森で体験するのは難しい。
森林セラピー基地の近くの飲食店や宿泊施設では、地元の食材を生かしたメニューを提供
する地域が多いそうだ。
    ■ □ ■
森林総研は、東京の男性会社員12人を対象に、ナチュラル・キラー(NK)細胞という
細胞の元気度を示す「NK活性」を大学などと共同研究(責任者=李卿・日本医科大講師)
したことがある。
免疫機能を担う細胞の一つで、がん細胞の増殖を抑える
働きがあるという。
数値が高いほど良い。

長野県内に2泊し、森林浴体験をした後に測ると、直前に東京で測った値よりも56%
アップしていた。
1ヵ月たってもまだ23%増えたままだった。
名古屋への観光旅行では変化はみられなかった。

香川さんは「転地効果だけではない。ストレスを下げ、NK細胞の働きを活発にする効果
が森にあることが示せた」と言う。

森林は様々な分野で活用されている。
NPO日本森林療法協会は、森でリハビリテーションやカウンセリングをする。
協会の理事長で、東京農業大の上原巌准教授(森林総合科学科)は「森の中では、悩みや
問題を客観視しやすくなる。
自分を肯定的にみることができ、コミュニケーションも活発になります」と話す。 



森林セラピー基地とロード(遊歩道)は、全国に24カ所。
基地は、複数の遊歩道があるなど、ロードより規模が大きい。

森林セラピーに向くのは、なだらかで、高低差があまりない歩道だ。
登山のように頂上を目指すのではなく、歩いて楽しむことを重視している。

もっとも、そういう場所だけでなく、例えば東京なら明治神宮多摩森林科学園のような
身近な緑の中でもリラックス効果は得られるという。

朝日新聞・朝刊 2008.3.16
版権 朝日新聞社

<コメント>
森林浴については2007年9月3日のこのブログでも取り上げさせていただきました。


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