食物アレルギー

昨夜寿司を食べたら顔面が腫れて腹痛が起きたという中年女性が午前中の外来を受診されました。
どうやらハマチとマグロが怪しいということでした。
この方は以前にブリの照り焼きを食べて喘鳴が起きて息苦しくなった、ということで来院されたこともありました。
今年の1月にはホタテを食べて気持ち悪くなったということで来院しています。
その時は食中毒を疑ったのですが、今からして思えば時間的経過からは食物アレルギーだったのかも知れません。



アレルギーとは?
人は細菌やほこり、花粉などの異物から体を守るため、免疫という防御機構をもっています。
アレルギーとはこの防御機構が過敏に反応した結果、起こる症状であると考えられています。

このようなアレルギーのメカニズムを図にしました。まず、異物(免疫学では抗原といいます)が体内に入ると、B細胞が抗原に対する抗体を作ります。
この抗体はB細胞から外に放出され、肥満細胞につきます。
抗体のついた肥満細胞は抗原を見つけると、ヒスタミンなどを放出します。
このヒスタミンがアレルギーの原因となり、鼻炎、皮ふのかゆみ、湿疹、ぜんそく、腹痛などを引き起こします。



食物アレルギーとは?
食物アレルギーは、食物を異物と認識したアレルギー反応であると考えられています。

また、上記のようなアレルギー症状がいくつか同時に生じ、急に悪化していく状態をアナフィラキシーと呼びます。特に呼吸困難、血圧が下がる、意識を失うなどのショック状態を伴う場合をアナフィラキシーショックと呼び、命に関わる危険性があります。


食物アレルギーの診断と治療について
診断には、血液検査、皮ふテスト、食物除去試験、食物負荷試験などがあります。

治療には、食事療法と薬物療法があります。食事療法では、原因となる食べ物を完全に除去した食事をとるようにします。薬物療法では、アレルギーの原因となるヒスタミンなどを抑える薬やステロイド剤等が使用されます。


最後に
近年、いろいろな食べ物が手に入りやすくなり、食物アレルギーの患者さんは増えてきています。
乳幼児期からあらわれる疾患のため、小さなお子さんをもつお母さんやお父さんは注意する必要があるかと思います。

また、食物アレルギーは成人しても継続または新たに発症することがあり、みなさんのまわりにもそばや落花生などを食べられない方が居られると思います。
そのような方々にそば粉や落花生等を含む料理を出す場合は、一言断ってからにするのがよいでしょう。

一方、食物アレルギーに対応する法令が整備されてきており、現在は(卵、乳、小麦、そば、落花生、甲殻類(えび、かに))を原材料とする加工食品では、これらを原材料として含む旨を表示することになっています。

みなさんも食品の表示欄を見る機会があると思いますが、意外なものにもアレルギーを引き起こす食物が使用されているかもしれません。





<参考および引用サイト>
食物アレルギーについて
http://www.city.shizuoka.jp/deps/kankyou-hoken/colum-seikatu2.html




<関連サイト>
食べるべきか食べないべきか、それが問題。食物アレルギー

http://lohasmedical.jp/archives/2007/11/post-82.php?page=3








ヒスタミン食中毒(アレルギー様食中毒)
http://www.iph.pref.osaka.jp/news/vol13/13-2.html
ヒスタミン食中毒とは、ヒスタミンを大量に含む魚介類を食べることにより、摂食後、数分から2、3時間という短い間に悪心、嘔吐、下痢、腹痛、頭痛、舌や顔面 の腫れ、じんま疹、金属様の味(peppery taste)、めまい感といった症状を起こす食中毒です。
赤身魚は買った日に食べ、保存するなら冷凍しましょう。