ジェネリック医薬品

ジェネリック医薬品後発医薬品)を処方して欲しい」という患者さんが少しずつ増えています。
保険組合から発行された文書を持参される方もみえます。

このジェネリック医薬品後発医薬品)とは、新薬(先発医薬品)の特許期間が切れた後、他メーカーが厚生労働省の許可を得て、同じ効果や成分で製造、販売する医薬品のことです。
開発、研究費がかからない分、価格が安いという患者さんにとっては大きなメリットがあります。
国は患者の負担軽減や医療費抑制のため使用促進を図っているのですが、お膝元の国関連の医療機関でも普及していないのが実情です。

このジェネリック医薬品も、供給ルートが不安定で供給自体も安定しないため医療機関としては使用しにくいという欠点があります。
そして品質面でも先発メーカーとは同等というわけではなく、「ほぼ」同等ということです。

食品に関しては神経を使う方も医薬品に関しては意外と無神経というのも不思議です。

当院は相変わらずの院内処方を貫いています。
院内処方のほうがはるかに院外処方より患者さんの負担は少ないのです。
院外処方のほうが安いということは絶対にありません。
院外処方は「手間(金)暇(時間)」がかかるのです。

当院ではジェネリック医薬品を採用する予定は今のところありません。
希望される方には院外処方箋を発行するように話しています。
この場合には「ジェネリック院外処方」と「先発医薬品の院内処方」で、患者負担が同じになってしまう可能性があります。



大手製薬会社はどうしてジェネリック医薬品を作らないの?
■国内大手製薬会社では、主力医薬品の特許期限切れ問題で頭を痛めているらしい。
俗に「製薬会社の2010年問題」と言われている。
特許切れを迎えると、大幅な収入減(売上減)となり経営を圧迫するからだ。
このことは以前から分かっていたことだが、それらに代わる新薬開発のめどが立っていないから深刻だ。
必死になって企業買収や技術供与などを行っている。

特許が切れても、自社でそのままジェネリックを作ればいいではないかと素人は思う。
また、医療費抑制策(ジェネリック医薬品普及策)をとる日本の国策に寄与できるはずである。
また同一会社がジェネリックを供給すれば、問題となっている信頼性が担保され、医師が処方するようになるはずだ。
ジェネリック医薬品の特許切れは国にとっても国民からも大歓迎である。
ところが大手製薬会社は容易に手をつけない。大手製薬会社としての自信とプライドが邪魔しているのだろうか。

<続々と特許切れになる大型医薬品>
医薬品の特許有効期間は出願日から20年で、有効成分を持つ物質や製造方法などが対象となる。
経営危機をむかえる製薬会社が続出すると考えられている。
2010年を挟んで前後2年位の間に大型新薬が次々に特許切れとなる。

例えば、武田薬品工業(タケブロン、アクトス、プロブレス)、アステラス製薬(プログラフ、ハルナール)、第一三共(クラビット)、エーザイ(アリセプト、バリエット)など、いずれも全世界で売上高1000億円以上の大型製品である。
この穴を埋めるほどの新薬はそう簡単に開発されそうにない。
日本の製薬会社は窮地に追い込まれ、世界的なメガファーマに吸収されるかもしれない危険をはらんでいる。

■新薬開発競争へまっしぐら
医薬品開発には莫大な開発費と時間を必要とする。
短縮されたといっても10年から20年かかると言われる。
候補物質を見いだせても、その物質の薬としての有効性や安全性、さらには製造方法の検討など、臨床研究や治験を終えて薬価申請へと進める可能性は近年狭められている。
このため、多くの会社は生き残りをかけM&A(企業買収・合併)や特定の分野に強い企業を見つけて技術を買い取ったりしている。

新薬開発競争には開発費がものをいう。
製薬会社の中には売り上げの20~30%を注ぎ込む会社もある。
売り上げ1兆円そこそこの会社と5兆円の会社とでは勝負は目に見えている。
それでも日本の会社はひたすら新薬開発競争に明け暮れているように見える。

経営理念とは、単に企業利益を上げるだけではない。
医薬品開発を通じて国民の医療に貢献することと製薬会社はうたっているではないか。
なぜ大手製薬会社は、特許切れ製品を自らジェネリック医薬品に移行しようとしないのか不思議でならない。
大手外資系企業の中には、ジェネリック部門を新設し、製造に乗り出している会社もある。
ちなみに日本ジェネリック製薬協会の会員一覧名簿にその名はない。
新薬開発をやめろと言っているわけではない。
ジェネリック医薬品への取り組みを積極的に行うのも大手製薬会社の責務ではないのかと思う。

■美味しくない? ジェネリック医薬品
一部の製薬企業で、数年前から特許切れの自社製品を自社のジェネリックとして発売している会社がある。
背に腹は代えられぬといったところだ。
至極当然の成り行きだと思う。
それまでに培った製造技術や品質管理力を如何なく発揮していることになる。

新薬メーカーのプライドがジェネリック医薬品開発に向かわせない土壌があると思えてならない。
新薬との薬価差はものによるが1/5~1/10となり、
1)大幅な収入減となり魅力を感じない、
2)新薬メーカーとしてのプライドが許さない
の2点が考えられる。
一攫千金を狙うには莫大なお金と時間を要するが、一発当てれば濡れ手に粟といった思いが強く、ジェネリックを作るくらいなら、新薬開発をとの思いが強いためではないか。

以下略

http://www.pjnews.net/news/535/20100517_5/
出典 PJニュース 2010.5.17




製薬業界の「2010年問題」とは? 主力薬品特許切れ続々 収益源に危機感
■医療費の高額な米国では、ジェネリックのシェアが約7割を占める。
このため、先発薬の特許が切れると安価なジェネリックが登場して一気にシェアを奪う。
市場の大きな米国での主力品の特許切れが企業に与える影響は大きい。
■そもそも、米国で2010年を中心に大型医薬品の特許切れが集中するのはなぜなのだろうか-。
それは1990年代初め、医学と化学物質精製や合成能力の進歩で、高血圧症向けなどの大型新薬が続々と開発されたことにさかのぼる。
米国の景気拡大の波に乗り、市場が大きく成長したが、特許切れも2010年前後に集中。特許切れ後、一気にジェネリックに入れ替わり、先発薬の収益が急速に落ち込むのが「2010年問題」だ。
■売上高で世界の頂点に立つ米ファイザーの高血圧症治療薬「ノルバスク」は07年3月に特許が切れ、米国での売上高が06年度から3年間で約97%も落ちた。
「米国では特許が切れた翌日から売り上げが急降下する。
ほとんどゼロになるといっても過言ではない」と業界関係者は明かす。
もちろん、世界に進出する日本企業も例外ではない。

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ジェネリック大手の大洋薬品高山工場を業務停止へ[10/03/17]
ジェネリック医薬品大手の大洋薬品工業名古屋市中村区)が、主力の高山工場(岐阜県高山市)で
製造し昨年9月に自主回収した胃潰瘍などの治療薬について、安全管理に重大な問題があったとして岐阜県は近く、同工場に薬事法に基づく業務停止命令を出す方針を固めた。
大手製薬会社の自主回収を受け、行政機関が業務停止命令を出すのは異例。
同県は、業務停止は3月下旬から10日間前後で検討している。

■同社によると、回収したのは昨年2月に製造した「ガスポートD錠20ミリグラム」(一般名
ファモチジン)で、調合の際に薬剤を取り違えて2ロット分約2万8千箱(1箱100錠入り)を製造。
品質を確かめる検査でもサンプルを取り違えるミスが重なり、規格外のまま3千余の病院や薬局など
医療機関向けに出荷していた。
取り違えた薬剤は主成分ではなく、健康への影響はないという。

■同社は昨年2月と今年2月にも、点滴用薬剤の取り違えなどで自主回収を発表。
今回は「健康に影響がない」として報道発表していない。
http://digest2chbizplus.blog96.fc2.com/blog-entry-7678.html

<コメント>
調剤薬局ではジェネリックの調剤の割合が一定以上を占めると調剤料に加算がつきます。
そういった薬局でジェネリックを調剤してもらうと、院内処方で新薬(先発医薬品)を処方してもらうより自己負担が高くなるというおかしな現象が起きます。
こういった事実を厚労省はどこまで把握しているのでしょうか。



<自遊時間>
袋をかぶって風呂に入る猫! 信じられないほどカワイイ

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