犯人はハウスダスト? 冬のアレルギー性鼻炎にご用心 入念に掃除、寝具は日干し
鼻水や鼻づまり。
風邪のようだと思い、薬を飲んでもなかなか治らない。
そんなときはホコリやダニなどハウスダストが原因のアレルギー性鼻炎の可能性がある。
日増しに寒さが募るこの季節、自宅で暖房を使い始め、温風が舞い上げたハウスダストを吸い込むと、人によっては発症する。
風邪薬が効かない人はアレルギー性鼻炎を疑ってみた方がよい。
東京の某耳鼻科には毎年11月以降、「鼻水が止まらない」「鼻づまりがひどく、夜も眠れない」という患者が年齢を問わず多く訪れる。
パート勤務の女性(52)もその一人。
寒くなり始めると鼻水や鼻づまりに悩まされていた。
「長年、花粉症だと思っていた」が、受診したところハウスダストが原因と判明。
「アドバイスに従い、自宅で念入りに拭き掃除をし、ホコリが付きそうなクッションは使わないようにした。服用薬と点鼻薬を処方してもらったこともあり、かなり改善した」と話す。
もちろん、朝晩の冷え込みや空気の乾燥から風邪をひく人もいるだろうが、アレルギー疾患のケースも意外に多い。
あまり知られていないが、ダニアレルギーの発症が最も多いのが晩秋から冬にかけての時期だ。
寒くなる季節だから、ダニが原因だと思う人はほとんどいない。
梅雨時から夏場にかけて繁殖したダニの死骸やフンが室内やエアコン内などにたまる。
この時期に暖房を使い始めると、温風がそれらを空中にまき散らすのだ。
職場の空調機器の温風が原因でアレルギー症状が出る人もいる。
ダニといえば、屋外に生息する吸血性のマダニを想起する人もいるが、これはアレルギーの原因ではない。
元凶は吸血性でないヤケヒョウヒダニなどで、ホコリや毛髪、フケなどを餌にして繁殖する。
肉眼ではほとんど見つからないほど小さいため、日常生活では意識されないことも多い。
ダニの死骸やフンは花粉より小さく、人体の奥まで入り込みやすいという。せきの原因になりやすいのも花粉よりダニ。
この季節のせきはダニアレルギーを疑う必要がある。
鼻風邪のような症状だが発熱はない。
血液検査をしたら、アレルギーだったということはよくある。
対処法は、まず簡単な室内の掃除から。
特にダニが多いのは寝室で、枕や布団などの寝具にたくさんいるという。
ダニが原因ならば、枕や布団を日干しした後、掃除機で吸い取ると効果的だ。
寝具だけでなく、床の掃除も重要だ。
掃除機の吸引部をゆっくり動かし、カーペットや畳は1畳当たり30秒をめどに丁寧に掃除するのがコツだ。
さらにアレルギーの人はダニが発生しやすいホットカーペットの使用は避けた方が無難。
ソファも布製は控えた方がよい。
部屋の隅にたまったホコリもダニの発生源になる。
対策の手を緩めることなく、週2回ほどは寝室や居間で入念な掃除を心掛けたい。
血液検査で原因物質特定 花粉症と勘違いに注意
春の花粉症と同様に、冬もアレルギー対策を講じたい。
スギやヒノキの花粉が飛散する季節にはマスクを着用したり、衣類に付いた花粉を除去したりする人が多いが、冬は無頓着な人が目立つ。
ハウスダストのアレルギーなのに、秋に飛散量が多いブタクサなどの花粉症と勘違いしていることもある。
医師が勧めるのは血液検査によるアレルギー原因の特定だ。
医療機関では健康保険適用でハウスダストや樹木、食物などへの反応と症状の出やすさを調べられる。
究極のアレルギー対策は原因物質からの回避だが、ハウスダストから完全に逃れるのは難しい。
検査で原因がハウスダストと判明したら、薬と生活の工夫によって症状の改善を目指したい。
参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊2019.11.27
<関連サイト>
ダニアレルギーって何?
https://alle-net.com/allergy/allergy-dani/allergy-dani08/
・検査項目の「ハウスダスト」はダニ、ペットのフケ、ゴキブリ・ガなどの昆虫、真菌などの混合物に対する抗体価を見ており、「ハウスダスト」が陽性である割合と「ダニ」が陽性である割合はほぼ同じです。
・ハウスダスト1gあたりのダニ抗原が2μg以上では、アレルギー性鼻炎の発症リスクの増加、ダニ抗原が10μg以上では、喘息発症の危険因子になるとの報告もあります。
J Allergy Clin Immunol 2007;120:144-9.
・「防ダニ寝具カバー」
(サイトの中で説明)
ダニアレルギー
https://alle-net.com/allergy/allergy-dani/
秋はダニ(ハウスダスト)アレルギーにご注意を
https://washio-jibika.com/blog/ダニ(ハウスダスト)アレルギーの診断と治療
・現在、5歳から皮下免疫療法と舌下免疫療法の2種類が保険適応になりました。
体質改善で治す!ダニアレルギーの「免疫療法」
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/topics/165.html
・気管支ぜんそくの患者では、小児の90%、成人の50%以上は、ダニアレルギーが原因といわれています。
「夜、寝ているときに症状が出る」、「掃除中や布団を干しているときに悪化する」。
これらは、ダニアレルギーの典型的な症状です。
・アレルゲン免疫療法は、病原となるアレルゲンを持続的に体内に投与し、ダニに対して免疫をつけて、アレルギーを起こしにくくする治療です。
注射と錠剤を用いる舌下免疫療法の2つの治療法があります。
舌下免疫療法は、舌の下に錠剤を入れて溶かしながら服用します。
錠剤は2種類あり、濃度の低いものから始めて、毎日1回服用します。
治療期間は、どちらの方法も最低3年以上が原則です。
・最近、ダニについては、「パンケーキ症候群」という食物アレルギーを起こすこともわかっています。
これは、パンケーキなどの粉に侵入したダニが原因です。
ダニは加熱してもアレルゲンの活性が残るため、食物アレルギーを発症します。
日本では、お好み焼きの粉などで起きています。
ダニは高温多湿を好むので、使いかけの粉類は冷蔵庫にすぐに入れるようにしましょう。
・ペットを飼っている人では、ダニ以外にペットに対するアレルギーや、さらに土カビにも注意です。
土カビは土壌中にいる真菌類で、イヌやネコが体につけて家の中に持ち込むのです。
このカビに対して抗体を持っている気管支ぜんそくの患者では、症状が重症化します。
土カビはペットを飼っていなくても、エアコンのフィルターなどにも存在していることがあります。
ダニアレルギーが起こる原因|布団クリーニング
http://www.e-fresco.co.jp/futon/fear/index.html
ダニを減らす対策
http://www.dani-allergy.jp/taisaku/index.html
ダニアレルギー性鼻炎
https://www.torii-alg.jp/rhinitis/kind.html