万能ではないPCR検査

万能ではないPCR検査

新型コロナウイルスに感染しているかは現在、「PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法」

という検査で「陽性」か「陰性」を判定している。

わずかなウイルスの遺伝物質を数時間かけて増やし、検出する。

 

大昔に恐竜の血を吸って琥珀に閉じ込められた昆虫から、わずかな遺伝物質を取り出し

て増やし、恐竜をよみがえらせる・・・。

PCR法は、1993年に公開された映画「ジュラシック・パーク」の背景になった技術でもある。

 

検査ではまず、感染した可能性がある人ののどや鼻の粘液をとる。 

PCR法はそこに含まれる、新型コロナウイルスに特徴的な遺伝物質の一部を増やす。

検出レベルまで増えれば「陽性」、検出できなければ「陰性」と判断される。

 

ただ、PCR検査も万能ではない。

感染の初期やウイルスが少ない検体の場合は検出できないこともある。

 

大阪府の女性は陽性から陰性になった後、再び陽性になった。

一度体内からウイルスが減ったが、再び増える「再燃」が起きた可能性が専門家から指摘されている。

また、中国・武漢からチャーター便で帰国した男性の一人は、のどから粘液をとる検査では陰性だったが、その後肺炎と診断され、肺内のウイルスがわかる別の検体の検査で陽性になった。

 

PCR検査は3月6日から保険適用が始まった。

ただ、感染しているかどうか不安な場合でも、必ず検査できるわけではない。

帰国者・接触者外来を受診し、医師が必要と認めた場合に限られる。

その理由は、軽症の患者を判定するためではなく、原因がわからない肺炎患者を早期に診断し、院内感染を防いで一般診療に影響しないようにするためだ。

 

インフルエンザウイルスでは、10分程度で陽性か陰性かわかる簡易検査キットがある。

国も新型コロナウイルスの感染を迅速に判定できる簡易キットの開発を急いでいる。

 

参考・引用一部改変

朝日新聞・朝刊 2020.3.12 別刷り

 

<関連サイト>

厚労省 新型コロナウイルスに関するQ&A(PCR関連を抜粋)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00004.html#Q1

・診断方法は、核酸増幅法(PCR法など)があります。実際には、昨今の国内外の発生状況を踏まえ、これらの地域に限定されることなく、医師が新型コロナウイルス感染症を疑う場合に、各自治体と相談の上で検査することになります、その際は、疑似症として保健所に届け出後、地方衛生研究所または国立感染症研究所で検査することになります。

まずはお近くの保健所にお問い合わせください。

渡航歴や患者との接触歴などから、都道府県が必要と判断した場合に検査が行われます。このような場合は、検査自体の費用は不要です。結果が判明するまでの期間は状況によりますが、1日から数日かかります。

 

2019-nCoV (新型コロナウイルス)感染を疑う患者の検体採取・輸送マニュアル(2020年3月16日更新)

https://www.niid.go.jp/niid/images/pathol/pdf/2019-nCoV_200316.pdf

国立感染症研究所のサイトです)