コロナ再感染、各国で報告相次ぐ 抗体減少が原因か
新型コロナウイルス感染症から回復した患者がしばらくして再び感染したとの報告が各国で相次いでいる。
一般に最初の感染で免疫がつくと、抗体などが次の感染を防ぐとされる。
新型コロナは抗体ができにくいか、回復後に抗体が減少するとの指摘もある。ワクチンの効果にも影響することから、研究者らはどんな人が感染を繰り返すのか原因究明を急いでいる。
ベルギーとオランダで新型コロナの再感染例が次々と報告された。
ロイター通信によるとベルギーの例は3月に感染し、6月に再感染した。
1回目の感染後に抗体がほとんどできなかったという。
オランダの再感染者は高齢で、もともと免疫が弱い可能性があった。
これまでにも回復後にPCR検査で再び陽性になる例はあったが、体内のウイルスの残骸を検出していたとされる。
今回はウイルスの遺伝情報から、回復後に再感染したことが明らかになった。
新型コロナでは感染後に抗体があまりできなかったり、持続しなかったりする場合があるとみられる。
中国・重慶医科大学などが感染して急性期にある複数の人を調べると、2割弱が抗体検査で陰性になった。
退院から8週間後に再び調べると、9割以上の人で抗体が減っていた。
再感染は抗体が持続しないことが主な原因と考えられる。
香港大学なども再感染者を報告した。
3月の感染後にいったん回復し、8月に空港でのPCR検査で陽性になった。症状はなかった。
無症状の再感染は風邪など他の呼吸器感染症でもある。
気道などには抗体ができにくいためだ。
多くは体内の免疫が働くなどして発症せず、気付かないという。
免疫の強さはウイルスと闘うワクチン戦略にも影響する。
専門家からは「重症化を防ぐ効果が期待できるが、半年くらいしか効果がないかもしれない」との指摘も出る。
気がかりなのはエクアドルの再感染例だ。
海外の報道によれば再感染後の方が症状が重い。
本来は感染を防ぐ抗体が症状を悪化させた可能性がある。
まれな例なのかどうか不明だが、ワクチン接種で同様の現象が起きないか専門家は注視する。
ウイルスのたんぱく質の形が変わると、それまでの免疫では対応できず再感染して発症しやすくなる。
ただ菅谷医師によると、普通は短期間で大きな変化は起こらないので可能性は低いという。
再感染のリスクを調べるため、国内でも横浜市立大などが元患者の抗体の量を調べる研究に乗り出した。
2日から検体の採取を始めた。新型コロナの謎は数多く、解明にはなお時間がかかる。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2020.9.6
<参考>
新型コロナ 再感染にはいくつかの種類がある
https://aobazuku.wordpress.com/2020/09/11/新型コロナ%E3%80%80再感染にはいくつかの種類がある/
<関連サイト>
新型コロナ、重症者ほど抗体少なく 1万6千人調査
東京大の児玉龍彦名誉教授らは2日、新型コロナウイルスの感染者は症状によって体内にできる抗体の量が違っていたと発表した。
重症患者は抗体の量が少なく、症状が重くなるほど減っていた。
病原体を排除する免疫が暴走する「サイトカインストーム」が起きたため、抗体を作る働きが弱まったとみている。
抗体は体内にウイルスなどが侵入すると、免疫の働きによって作られる。
重症患者には免疫を抑える薬の投与が妥当だと証明する結果になった。
東大や阪大病院など6つの医療機関などで、1万5772件の検体を調べた。血液に含まれる抗体の量は軽症の患者では少なく、酸素吸入が必要な中等症になると多くなった。症状が重くなると減り、体外式膜型人工肺(ECMO)をつけた患者の抗体の量はさらに少なかった。
様々な抗体を調べたところ、新型コロナの再感染を防ぐとされるタイプは150日以上持続することがわかった。
抗体の寿命が長く、ワクチン開発に希望が持てる。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2020.9.2
コロナ回復後に再感染 香港大チームが初確認
香港大学の研究チームは24日、新型コロナウイルスに感染して回復した人が再び感染したことを初めて確認したと発表した。
ウイルスを詳しく調べたところ、最初に感染した時とは別のものと判明したという。
世界的な流行が長引く懸念がある。
香港メディアによると、2回感染したのはIT業界で働く33歳の男性。
3月に感染が確認され、4月にはいったん回復したが、8月にスペインから香港に戻った際の検査で陽性反応が出た。
遺伝子解析から2回目のウイルスは欧州で流行したものに近く、最初の感染とは別だと結論づけた。
研究チームは「コロナウイルスは一般的な風邪と同様に、患者が免疫を獲得しても、人々の間に長くとどまることが示唆された。
いちど感染した人もワクチン接種やマスク着用、社会的距離の確保といった予防策に従う必要があるた。
新型コロナを巡っては、一度感染して増強された免疫の能力が、数カ月で落ちるという研究報告もある。
世界的な流行が長期化する可能性があり、渡航制限などの規制を当面続ける必要があるとの見方が強まっている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、再感染が確認された男性には新型コロナの症状が出ていない。
同紙は専門家の見方として「1回目の感染が免疫を作り出し、発症を防いだ」(米エール大の岩崎明子教授)と伝えた。
参考・引用一部改変
朝日新聞・朝刊 2020.9.2