コロナ患者9割近く、血小板の塊 重症者ほど多い傾向

コロナ患者9割近く、血小板の塊 重症者ほど多い傾向

新型コロナウイルス 患者の9割近くには、血栓をつくる働きがある血小板の塊が血液中に多く存在し、特に重症者ではその傾向が顕著だとの研究成果を東京大などのチームが9日、発表した。

チームは、重症化予測につながる新たな血液検査法の実用化をめざしており、「血栓症によ

る死亡率を下げる的確な治療にもつながる」と期待する。

 

新型コロナの患者は、感染によって血管内部が傷つけられることで血栓ができやすくなり、

肺や心臓などの血管が詰まって重症化を招くことがある。

このような血栓症の兆候をとらえようと、大学院理学系研究科や医学部付属病院などのチームは、同病院に入院した患者110人の血液を週3~5回採取。

特殊な分析装置を使い、血小板や白血球が一定の大きさ以上に集まった「循環血小板凝集塊」の有無を調べた。

その結果、患者の87%から健康な人に比べて過剰な量の血小板の凝集塊が見つかった。

血液中の出現頻度は、重症患者や死亡した患者ほど高く、退院時には低下していた。

 

研究チームは、凝集塊の測定が「血栓形成の重要なマーカーとして重症化リスクの判断法になり得る」と指摘。

コロナ後遺症の解明やコロナ以外の血栓症にも応用できるとして、検査装置の実用化をめざす。

研究成果は、英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

コメント;

重症新型コロナウイルス患者では、微小血栓が血管内で多発する播種性血管内凝固症候群(DIC)が起こることはすでに確率された概念です。

今回の発表は、「特殊な」分析装置を用いて、「循環血小板凝集塊」の有無を調べたということです。

しかし、このDICの診断基準はすでに確立されており、これを「過剰な量の血小板の凝集塊」として確認したことに過ぎません。

この特殊な分析装置が、高価でありしかも普及の見込みがないものであれば、この研究発表

の意味がどれだけあるのだろうか、と訝(いぶか)ってしまいます。

 

論文を読んでいないのでわかりませんが、この血小板塊の多少が重症化に関係しているということなら、重症度と血小板塊の多少との関係も当然検討されているはずです。

問題は、客観的な「定量化」が出来ているかどうかということです。

DICにおいては、重症度が客観的にリスク基準が定められています。

この基準と、この血小板塊の多少が一致するのであれば、従来の検査法でよいことになってしまいます。

 

参考

DIC(播種性血管内凝固症候群)

http://www.ketsukyo.or.jp/disease/dic/dic.html

・DICは元々、がん、白血病、細菌感染症(この3種類の疾患がDICの約3/4を占める)などの病気(基礎疾患)にかかっている患者さんに生じます。

・DICでは、このように基礎疾患が悪化して、全身の血管に小さな血液のかたまり(微小血栓)が無数に生じる病態です。細い血管が詰まるため、血流が妨げられて、酸素や栄養などが組織に届かなくなり、腎臓や肺などの臓器障害を起こし、生命に重大な危険をもたらします。

 

COVID-19と凝固線溶異常/DIC

https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/covid-19/column_a/01/01.php

 

COVID-19における凝固線溶異常病態

https://www.jbpo.or.jp/med/jb_square/covid-19/column_a/01/01.php

・COVID-19の凝固線溶異常と関連して最も多く報告されているのは、血中D-ダイマーの上昇である。D-ダイマーの上昇と予後との関連を論じた報告は多い。

 

新型コロナ肺炎の死亡に播種性血管内凝固症候群(DIC)が関与している?

https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14500

 

新型コロナウイルス感染による血栓症発症リスク増大の警鐘

http://www.jsth.org/wordpress/wp-content/uploads/2020/05/20200513_2.pdf

 

COVID-19と凝固・線溶異常との関連性 

https://akp-pharma-digital.com/pathologies/dic/covid-19

(動画)

 

COVID-19で血栓症発症リスク増大、学会が警鐘

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/report/t344/202005/565551.html

 

参考・引用一部改変

朝日新聞・朝刊 2021.12.10